[P48-03] Fontan術後蛋白漏出性胃腸症の遠隔期洞不全症候群に対してペースメーカー植込み術を行いステロイド離脱した症例
キーワード:フォンタン, 蛋白漏出性胃腸症, ペースメーカー
【背景】蛋白漏出性胃腸症(Protein losing enteropathy: PLE)はFontan術後の約10%程度に認められる合併症で、予後不良因子として知られている。今回、洞不全症候群のあるFontan術後患者に対して、術後遠隔期にペースメーカー(PM)植込み術を施行した症例を報告する。
【症例】左側相同、単心室の16歳男児。1歳10か月時にFontan術施行、7歳時にPLE発症し、以降プレドニゾロン(PSL)を長期内服していた。6歳以降の心電図から補充調律を認めたが、平均心拍数は90程度、有意な洞停止や自覚症状はなく、洞不全としてはPM植込み術の適応はないと判断されていた。経過中複数回ステロイドの減量を試みたもののアルブミン(Alb)値2g/dl以下への低下があり内服が長期化していた。心房ペーシングにより房室同期不全を改善することで PLEも改善することを期待して 、16歳時に心外膜PM植込み術を施行した。
【結果】術直前はPSL20mg/day内服し1年間で平均Alb 2.2 g/dlであったが、術後半年間で平均Alb 3.5 g/dlまで回復した。術後1ヶ月からPSL漸減行い、術後4ヶ月には生理量となるPSL2mg/dayまで漸減したが、Alb 3.0 g/dlを切ることなく推移している。今後は内因性ステロイド分泌の改善を待って内服離脱の予定である。
【考察】Fontan術後のPLEは高用量スピロノラクトン、後負荷軽減目的のACE阻害楽、ステロイド、不整脈に対して心拍出量改善を目的としたアブレーションやPM植込み、Fontan fenestration作成や胸管・肝静脈に対する外科的介入など、様々な報告があるがいずれも治療効果は限定的であり、予後も不良である。本症例では房室同期不全がPM植込みにより改善したことで、治療抵抗性のPLEがコントロール可能になったと考えられる。
【結論】心拍出量が保たれていても洞不全による房室同期不全が認められる場合は、Fontan術後蛋白漏出性胃腸症の遠隔期洞不全症候群に対してPM植込み術がひとつの治療の選択肢となり得ると考えられた。
【症例】左側相同、単心室の16歳男児。1歳10か月時にFontan術施行、7歳時にPLE発症し、以降プレドニゾロン(PSL)を長期内服していた。6歳以降の心電図から補充調律を認めたが、平均心拍数は90程度、有意な洞停止や自覚症状はなく、洞不全としてはPM植込み術の適応はないと判断されていた。経過中複数回ステロイドの減量を試みたもののアルブミン(Alb)値2g/dl以下への低下があり内服が長期化していた。心房ペーシングにより房室同期不全を改善することで PLEも改善することを期待して 、16歳時に心外膜PM植込み術を施行した。
【結果】術直前はPSL20mg/day内服し1年間で平均Alb 2.2 g/dlであったが、術後半年間で平均Alb 3.5 g/dlまで回復した。術後1ヶ月からPSL漸減行い、術後4ヶ月には生理量となるPSL2mg/dayまで漸減したが、Alb 3.0 g/dlを切ることなく推移している。今後は内因性ステロイド分泌の改善を待って内服離脱の予定である。
【考察】Fontan術後のPLEは高用量スピロノラクトン、後負荷軽減目的のACE阻害楽、ステロイド、不整脈に対して心拍出量改善を目的としたアブレーションやPM植込み、Fontan fenestration作成や胸管・肝静脈に対する外科的介入など、様々な報告があるがいずれも治療効果は限定的であり、予後も不良である。本症例では房室同期不全がPM植込みにより改善したことで、治療抵抗性のPLEがコントロール可能になったと考えられる。
【結論】心拍出量が保たれていても洞不全による房室同期不全が認められる場合は、Fontan術後蛋白漏出性胃腸症の遠隔期洞不全症候群に対してPM植込み術がひとつの治療の選択肢となり得ると考えられた。