[P48-05] 繰り返すFontan術後合併のPlastic bronchitisに対してステロイド療法により長期寛解維持できたHLHSの一例
キーワード:Plastic bronchitis, Fontan, ステロイド
【背景】Plastic bronchitis(PB)は、鋳型気管支粘液栓(cast)により致死的な気道閉塞を起こす疾患で、Fontan術後の遠隔期合併症としても知られている。今回我々はFontan術3年後にPBを発症し再燃を繰り返していたが、ステロイド療法により寛解維持できた症例を経験したので報告する。【症例】HLHSの6歳男児。日齢7にm-Norwood (RV-PA shunt)、6ヶ月にBil-Glenn、2歳5ヶ月にfenestrated Fontan施行。6歳2ヶ月、突然の呼吸困難にて入院。当初気管支喘息として加療したが、樹枝状のcastを喀出しPB診断に至った。castの病理所見ではfibrin成分を含み、好中球主体の細胞浸潤を認めたため、炎症型PBと判断、ステロイド内服・吸入療法を開始した。一時的に改善はみられたが、ステロイド漸減に伴いPBは再燃し、気管支鏡によるcast摘出を繰り返した。心臓カテーテル検査ではCVP13mmHg、左肺動脈狭窄あり、cast形成の要因としてCVP上昇および相対的右肺血流増加が考えられた。6歳10ヶ月に左肺動脈stent留置及び肺血管拡張薬を導入、術後はCVP6mmHg、左右肺動脈の圧較差は解消された。血行動態の改善によりステロイド中止を試みたがPB再燃を繰り返した。本症例PBにはステロイド継続が不可欠と判断、のべ10年に渡りステロイド投与を継続した。最終発症から5年再燃がないことを確認した後、ステロイドを漸減中止することでき、以後再燃は認めていない。【考察】PB発症要因として特異なFontan循環が関連するとされるが未だ確立された治療法は無い。血行動態的治療後もステロイド中止に伴いPB再燃を認め、castの病理所見からも本症例PBにはステロイド継続が必要であった。ステロイドが有効なPBに対しては長期投与による副作用は懸念されるが、寛解状態を長期間維持することがPB再燃を予防するものと考えられた。【結語】PB再燃予防には、castの性状に応じた治療により寛解状態を長期間維持することが重要であった。