The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達 4

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:木村 純人(たけだこどもクリニック)

[P49-01] 上大静脈閉塞は難治性術後乳び胸のハイリスク因子である

長田 洋資, 葭葉 茂樹, 小林 俊樹, 小島 拓朗, 小柳 喬幸, 連 翔太, 今村 知彦, 中野 茉莉恵, 住友 直方 (埼玉医科大学国際医療センター)

Keywords:乳び, 術後合併症, 上大静脈閉塞

【背景】術後乳び胸は先天性心疾患の術後合併症として一定の割合で認められるものの、確立した治療方針が決定していないのが現状である。また静脈圧上昇型(損傷型以外)の乳び胸では難治性となる傾向がある。今回術後に発症した上大静脈(SVC)閉塞を伴う乳び胸が根治困難であった2例を報告する。【症例1】診断:TGA、日齢18でJatene手術を施行。POD8に乳びを認めMCTミルクへ変更。また超音波検査にて上大静脈の閉塞が疑われた。POD15上大静脈に対するステント留置および血栓吸引、右肺動脈に対するバルーン拡張術を行った。その後両側鼠径リンパ節をエコー下に穿刺しリピオドール右0.5ml,左0.8mlを注入した。リンパ管造影により胸水は一時減少した。しかしSVCの再狭窄を認めたためステントの再留置を施行した。その後も胸水は減少する事なく胸膜癒着療法、胸管結紮術などを行ったが術後10ヶ月で敗血症による多臓器不全で死亡した。【症例2】診断:右肺動脈上行大動脈起始、日齢21右肺動脈-主肺動脈吻合、動脈管結紮、大動脈パッチ形成を実施した。術後SVC閉塞、同部位に対してstent留置、血栓吸引を試みたが、その後完全閉塞。両側難治性乳び胸を発症した。プレドニン静注は効果なく、胸管結紮、胸膜癒着術(自己血、ミノマイシン、ピシバニール)を繰り返し施行したが40-50ml/dayの胸水が続いていた。術後10ヶ月で鼠径部リンパ静脈吻合術を施行し胸水は消失した。現在も挿管したうえで経過観察中である。【考察】上大静脈閉塞を伴う静脈圧上昇型の乳び胸を2例経験したが内科的治療への反応は不良であり外科的治療を要した。共に10ヶ月間の治療を行い一例は根治することなく死亡し、もう一例はリンパ静脈吻合により改善し経過観察中である。上大静脈閉塞は中心静脈圧の上昇によりリンパ管が破綻し最重症の乳び胸となり予後は不良と思われる。