第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達 4

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:木村 純人(たけだこどもクリニック)

[P49-02] Fontan術後症例の肝障害の評価

衣川 佳数1, 長谷山 圭司1, 八田 英一郎2 (1.手稲渓仁会病院 小児循環器科, 2.手稲渓仁会病院 心臓血管外科)

キーワード:Fontan, 肝障害, FALD

【背景】Fontan術後には肝硬変、肝線維症などの肝合併症が数多く報告されている。【対象と方法】Fontan術後 50例について、血液検査、算出されたForns Index・APRI・FIB-4、肝線維化マーカー(ヒアルロン酸、P-3-P、IV型コラーゲン7s)、血行動態検査(心エコー検査、心臓カテーテル検査)、肝画像検査(上腹部エコー検査、CT/MRI検査)をretrospectiveに比較検討した。対象年齢は平均18.8±10.3歳(5歳から48歳)、Fontan術後平均11.0±6.4年(2年から26年)であった。肝画像所見は、正常(G0)、肝うっ血所見のみ(G1)、軽度の肝線維化所見(G2)、進行した肝線維化あるいは肝硬変様(G3)に分類した。【結果】血液検査の異常値は、血小板数17.6±6.9/μl(異常値割合:38%)、γ-GTP 71.6±42.7 U/l(70%)、LAP 82.8±21.1 U/l(51%)などで多く、Forn index 2.5±3.2、APRI 0.42±0.15、FIB-4 0.68±0.55が算出された。エコー検査にて肝腫大、hyper-echoic lesion、内部の粗造・不均一、表面の凹凸、脾腫、腹水など、CT/MRI検査にて肝腫大、網目状造影所見、表面の凹凸、脾腫、腹水などを認めた。画像検査を施行した29例中ではG0:5例(17%)、G1:5例(17%)、G2:14例(48%)、G3:5例(17%)であり、およそ2/3の症例で肝線維化所見を認めた。肝画像分類は、肝線維化マーカー値とおよそ相関する傾向が認められた。血行動態検査との比較では、中心静脈圧の高い症例、術後経年の長い症例に肝画像所見が強い傾向が認められた。【結語】肝線維化は多くのFontan症例で潜在性に進行しており、中心静脈圧を極力低下させた管理が重要と推測された。