第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達 4

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:木村 純人(たけだこどもクリニック)

[P49-03] Fontan患者のGGT値上昇による肝機能障害背景の推定

浜道 裕二, 小宮 枝里子, 額賀 俊介, 其田 健司, 小林 匠, 石井 卓, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院循環器小児科)

キーワード:Fontan, GGT値, 心拍出量低下

【背景と目的】Fontan術後患者では、中心静脈圧上昇に伴う肝鬱血により肝障害を来すと考えられている。しかし、中心静脈圧が上昇している患者にだけ肝障害を生じているわけではない。今回、Fontan患者の肝障害に関与する因子を推定した。【方法】対象は2010年~2017年に心臓カテーテル検査及びGGT測定を行った234人。年齢は2才~46才。GGT≧100UI/LをGGT上昇(GGT↑群:51人)と定義し、GGT↑に関与する因子を求めた。【結果】GGT↑群が有意に、カテ時年齢、Fontan手術時年齢は高く、Fontan術時からの期間も長かった。GGT↑群の方が有意に、無脾症候群、房室弁逆流がII度以上、房室弁の人工弁置換の率が高かった。心機能に関してはGGT↑群は有意に、主心室の拡張末期容積、収縮末期容積は大きく、駆出率及び心拍出量が低下していた。肺循環に関してはGGT↑群の方が有意に、肺動脈楔入圧、下大静脈圧は上昇していた。両群間でPA indexは同等で、肺血管抵抗に有意差はなかった。多変量解析でGGT≧100UI/Lに独立して関与するのは、無脾症候群、Fontan術から心カテまでの期間>20 yrsの他、心機能因子として、心拍出量≦1.7 L/min/m2、心室駆出率≦38%、心室拡張末期容積≧142%の3因子。非独立因子として関与したのは、Fontan年齢>17 yrs、房室弁置換、心室収縮末期容積≧72%、肺動脈楔入圧≧9mmHg、下大静脈圧≧15mmHg、房室弁逆流II度以上であった。これら全11因子によるGGT≧100UI/Lに対する説明係数は40%であった。何等かの症状もしくは異常所見を認めていた例は、GGT↑群の方に有意に多かった。【結語】Fontan患者の肺循環系の圧上昇は、GGT≧100UI/Lに独立して関与はしておらず、独立して関与したのは心機能の低下であった。肺動脈の太さは全く関与しなかった。心機能の低下は静脈系の圧上昇を来すことにより肝鬱血を起こす他に、肝動脈血流を低下させることで肝障害を起こしているのかも知れない。