第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達 4

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:木村 純人(たけだこどもクリニック)

[P49-04] フォンタン循環における横隔神経麻痺の影響

柳 貞光, 野木森 宜嗣, 加藤 昭生, 佐藤 一寿, 北川 陽介, 若宮 卓也, 小野 晋, 金 基成, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:フォンタン, 横隔神経麻痺, 予後

【背景】術後横隔神経麻痺は、フォンタン循環の予後不良因子である。【目的】フォンタン循環における横隔神経麻の影響を明らかにする。【対象と方法】2002年から2017年のフォンタン適応症280例のうち横隔神経麻痺を認めない256例(DP-群)および横隔神経麻痺を認めた24症例(DP+)を対象とした。DP+群は自然軽快14例(DP軽快群)と持続10例(DP持続群)にわけた。 それぞれのフォンタン達成率、カテーテル検査、運動耐容能、呼吸機能検査を比較した。【結果】 DP+群は男:女(12:12)、疾患はHLHS11(45%) Asplenia4(17%) Polysplenia3(13%) LTGA2(8%)。横隔膜縫縮術は83%(20/24)に施行。カテーテル検査値はLPAmean(DP-群:DP軽快群:DP持続群=10.1±4.1, 10.4±3.3, 11.0±2.3 NS) RPA mean(10.0±2.3, 10.8±3.4, 10.5±2.3 NS), LPAW(5.2±2.0, 6.4±3.5, 6.6±2.4 NS), RPAW(5.2±2.1, 6.7±4.3, 7.2±2.3 p<0.05), Rp(1.8±1.0, 1.8±0.6, 1.9±1.0 NS) Qs(3.4±0.8, 3.3±0.5, 3.1±0.7 NS)とRPAWのみ有意差を認めた。運動耐容能はAT(DP-群:AP+群=19.3±3.1:20.5±6.5 NS) peakVO2(26.5±5.2:27.4±6.4 NS)。呼吸機能検査はVC%N(DP-群:DP+群=78.3±15.8:65.8±2.6 p<0.05) FVC%N(73.9±16.7:73.3±2.3 NS)、一秒率(86.4±9.4:93.6±2.0 NS)とフォンタン症例ではVC%NおよびFVC%Nは低く、DP+群はVC%Nが低かった。フォンタン非到達率はDP-群24か月15.2% 36か月10.3% 60か月9.3%、DP+群41.4%、23.0%、12.3%でさらにDP持続群は55.6% 44.4% 29.6%であった。【考察】横隔神経麻痺は運動耐容能や肺動脈圧には差はないものの、PAWPが高く側副血行の存在が示唆され、また呼吸機能検査ではVCの低下を認めた。フォンタン到達率も低い。早期の横隔膜縫縮術やカテーテル治療が一部で有効だが、不可逆的な横隔神経麻痺回避のため、愛護的な手術手技が求められる。