The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達 4

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:木村 純人(たけだこどもクリニック)

[P49-05] 心疾患術後に合併した乳糜胸、乳糜腹水、乳糜心膜症の検討

田原 昌博1, 浦山 耕太郎1, 杉野 充伸1, 新田 哲也1, 山田 和紀2 (1.あかね会土谷総合病院 小児科, 2.あかね会土谷総合病院 心臓血管外科)

Keywords:chylothorax, octreotide, etilefrine

【背景】心疾患術後に合併した乳糜胸の治療法は保存的治療(絶飲食、脂肪制限、薬物治療等)が第一選択となる。近年Octreotide(O)やEtilefrine(E)の有効性が報告されているが、有効性、安全性等は不明とされている。【方法】2008~17年に心疾患術後に排液中トリグリセリド(TG)値から乳糜胸(腹水、心膜症)と診断した14人(男8、女6)、延べ16件を対象に治療方法、効果、副作用等について後方視的に検討した。【結果】手術月齢11.2±11.6ヶ月、体重5.4±2.9kg。21トリソミー3人、18トリソミー2人、Noonan症候群1人、無脾症候群3人。開心術8件、TCPC/BCPS4件、肺動脈絞扼術3件、ペースメーカー留置1件。乳糜胸13件、腹水1件、心膜症2件。診断:術後9.4±5.6日、排液中TG446.6±487.8mg/dl、単核球比率(L)83.8±18.6%、最大排液量(V)20.4±11.1ml/kg/日。治療:全例MCTミルク投与や脂肪制限、ステロイド(P)のみ1件、Eのみ2件、OP併用2件、OE併用5件、OEP併用2件。O開始量0.33±0.29μg/kg/H、最大1.81±2.00μg/kg/H、期間16.9±9.0日、E開始量0.19±0.11mg/kg/H、最大0.27±0.12mg/kg/H、期間12.2±7.6日、P開始量1.39±0.42mg/kg/日、期間16.8±7.2日。全例保存的治療で軽快し、軽快までの期間(D)は、診断後8.5±5.8日、最終選択薬投与開始後5.9±3.2日。副作用は腹部膨満2件、肝障害1件、低血糖1件、一過性甲状腺機能低下1件であり、早期死亡3人以外の11人が低身長を呈した。乳糜胸13件で難治予測因子を検討し、診断後D 9日未満:9日以上での診断時TG(mg/dl)、L(%)、V(ml/kg/日)はそれぞれTG407.1±469.5:508.6±692.3(ns)、L74.7±21.7:96.5±3.1(p<0.05)、V19.1±13.1:20.4±9.2(ns)であった。【考察】術後乳糜胸へのO、Eは有用であった。低身長は基礎疾患の影響もあり、O投与の関連は不明であった。重症度の比較は困難だが診断時L高値の場合は軽快するまで長期間となる可能性がある。今後の症例の蓄積が望まれる。