[P50-05] 肺高血圧に対しberaprostを使用後動脈管の再疎通を認めた、ダウン症の一例
Keywords:beraprost, 動脈管, 再疎通
【背景】肺動脈性肺高血圧(PH)の内服治療としてPGI2誘導体製剤・PDE5阻害薬・エンドセリン受容体拮抗薬が併用され一定の治療成績が得られている。一方PGI2にはやや弱いが動脈管(DA)開存効果が認められる。
【目的】乳児期に肺疾患に伴うPHを指摘され、呼吸補助に加えPGI2誘導体であるberaprostを併用したところ一旦は閉鎖傾向だったDAが再疎通したダウン症症例を経験したので報告する。
【症例】胎児期に両側乳び胸水と肝腫大を指摘、羊水検査で21トリソミーの診断。在胎33週6日、児心音低下のため緊急帝王切開にて出生。一過性骨髄増殖症に対し交換輸血およびcytarabin投与、乳び胸に対し両側胸腔ドレナージおよびoctreotide投与を施行。慢性呼吸障害が強く人工呼吸管理の後日齢101までnasal CPAPを使用。在宅酸素療法の上NICU退院直後の日齢146に夜間/啼泣時のSpO2異常低下(最低60~70%)を主訴に当科受診。PDA/PFO以外に心血管構造異常はなかったが体血圧を超えるPH(BP=82/55mmHg, TRδP=96mmHg)を認めた。強い呼吸障害と胸部X線上の両側網状影が著明で直ちに在宅CPAPを導入、また肺高血圧改善目的に順次tadalafil・macitentan・beraprostを開始漸増した。PHは体血圧の2/3程度(BP=80/52, TRδP=50mmHg)に改善し8か月時にはDAは閉鎖した。しかしberaprostを予定量(1μg/kg/日)に増量した後の月齢9か月時、心エコー上明らかな再疎通(径3mm, 左右シャント, PG=20mmHg)を認めた。呼吸は明らかに改善傾向で、PGI2の副作用を疑い同剤を中止したところ、生後10か月時には再び径1mm程度にまで縮小を認めた。現在も経過観察中。
【考按】PGI2にもDA開存効果があるとの報告は多いが、成熟児に使用したPGI2によるDA再疎通の報告は検索し得た限りでは無かった。ダウン症の影響は不明だが、今後PHに対しberaprostを使用する際はDAの動向にも十分な注意を払うべきと考えた。
【目的】乳児期に肺疾患に伴うPHを指摘され、呼吸補助に加えPGI2誘導体であるberaprostを併用したところ一旦は閉鎖傾向だったDAが再疎通したダウン症症例を経験したので報告する。
【症例】胎児期に両側乳び胸水と肝腫大を指摘、羊水検査で21トリソミーの診断。在胎33週6日、児心音低下のため緊急帝王切開にて出生。一過性骨髄増殖症に対し交換輸血およびcytarabin投与、乳び胸に対し両側胸腔ドレナージおよびoctreotide投与を施行。慢性呼吸障害が強く人工呼吸管理の後日齢101までnasal CPAPを使用。在宅酸素療法の上NICU退院直後の日齢146に夜間/啼泣時のSpO2異常低下(最低60~70%)を主訴に当科受診。PDA/PFO以外に心血管構造異常はなかったが体血圧を超えるPH(BP=82/55mmHg, TRδP=96mmHg)を認めた。強い呼吸障害と胸部X線上の両側網状影が著明で直ちに在宅CPAPを導入、また肺高血圧改善目的に順次tadalafil・macitentan・beraprostを開始漸増した。PHは体血圧の2/3程度(BP=80/52, TRδP=50mmHg)に改善し8か月時にはDAは閉鎖した。しかしberaprostを予定量(1μg/kg/日)に増量した後の月齢9か月時、心エコー上明らかな再疎通(径3mm, 左右シャント, PG=20mmHg)を認めた。呼吸は明らかに改善傾向で、PGI2の副作用を疑い同剤を中止したところ、生後10か月時には再び径1mm程度にまで縮小を認めた。現在も経過観察中。
【考按】PGI2にもDA開存効果があるとの報告は多いが、成熟児に使用したPGI2によるDA再疎通の報告は検索し得た限りでは無かった。ダウン症の影響は不明だが、今後PHに対しberaprostを使用する際はDAの動向にも十分な注意を払うべきと考えた。