[P52-01] 左冠動脈起始異常を合併した左心低形成症候群の一例
キーワード:congenital heart disease, hypoplastic left heart syndrome, coronary artery anomaly
【背景】 冠動脈起始異常は突然死の原因として重要な疾患である。左心低形成症候群(HLHS)に冠動脈起始異常を合併することは極めて稀である。【症例】 死亡時日齢7女児。人工授精胚移植で妊娠成立。在胎38週1日、体重2662g、予定切開で出生。エコーでHLHS(大動脈弁閉鎖、僧帽弁狭窄)と診断確定。心房間交通の狭小化なし。造影CT検査で左冠動脈は大動脈弓の下面から起始、左冠動脈起始異常合併と診断。エコーでも上行大動脈に併走する管腔構造、血流が確認された。右冠動脈は画像検査では同定できなかった。日齢7、first palliationとして肺血流調整のため両側肺動脈絞扼術(bPAB)を施行。bPAB直後にST上昇を伴う徐脈、血圧低下をきたした。bPAB解除、アドレナリン静注、電気的除細動でまもなく復帰。bPAB 不十分のままICU入室とした。入室時はバイタル安定していたが数時間後から徐々に血圧低下、蘇生に反応なく永眠された。剖検でCT診断通りの左冠動脈起始異常および低形成の右冠動脈が確認された。bPABによる冠動脈の血流変化が突然死の誘因となった可能性があるが、術前に予測することは困難であった。【まとめ】 冠動脈が肺動脈から起始する冠動脈異常を合併するHLHSは数例の報告があるが、冠動脈が大動脈弓から起始する症例についてはこれまで報告がない。貴重な症例を経験したので剖検所見、文献的考察を踏まえ報告する。