[P52-05] 上大静脈症候群に対する頻回治療介入後に診断に至った高安動脈炎の1例
キーワード:高安動脈炎, 上大静脈症候群, 血管炎
【背景】高安動脈炎は若年女性が罹患する疾患であり,症状が非特異的であり,診断までに時間を要することがある。今回、上大静脈症候群に対する頻回治療介入後に診断に至った高安動脈炎の1例を経験したので報告する。【症例】2011年9月に、肺炎で近医入院。入院中の心エコー検査で右心系の拡大を指摘。2012年1月sinus venosus typeのASDと部分肺静脈還流異常症(右上肺静脈→SVC)の診断。同年10月に心房内トンネル形成術、SVCパッチ形成術施行。2013年6月SVC症候群(顔面と上肢の浮腫)発症。SVC、PVともに狭窄あり、Balloon拡張にてSVCの圧較差は30→18mmHgまで改善。しかし3か月後再狭窄のため顔面の浮腫、頭痛、耳閉感を認め、再度Balloon拡張施行。2014年4月 SVC再狭窄し、ステント留置。2015年3月 ステント近位で狭窄あり、ステントを追加留置。しかし2016年1月と6月に顔面の浮腫、頭痛、耳閉感の再出現・増悪を認めBalloonステント再拡張施行。IVUSでは、ステント内に著明な内膜肥厚を認めた。再度症状出現し、2016年10月にSVC-RA人工血管再建術(16mmリング付きゴアテックスグラフト)施行。術後も明らかな感染を示唆しない発熱が断続的に持続し、また、CRPも軽度上昇が持続していた。2017年8月からは再発熱と耳閉感ありグラフト感染を疑いPET施行。右総頚動脈、左総頚動脈と胸部上行大動脈から弓部に集積あり。また、MRIにて大動脈弓部、左総頚動脈、腕頭動脈起始部に壁肥厚とDWIBS法で血管壁に沿った高信号が描出され高安動脈炎と診断した。ステロイド内服開始後は症状消失し、現在も外来にて経過観察中。【考察】今回上大静脈術後にカテーテル治療に抵抗して繰り返して狭窄を来たし、その後の経過で高安動脈炎と診断した症例を経験した。この内膜増殖による静脈狭窄が高安動脈炎と関係があるのか今後の検討を必要とする。