The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション53(P53)
川崎病・冠動脈・血管 4

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)

[P53-02] 一過性の微熱と発疹、BCG痕発赤のみを症状とし、冠動脈瘤を合併した不全型川崎病の1例

大岩 香梨, 荒井 篤, 伊藤 由作, 加藤 健太郎, 本倉 浩嗣, 伊藤 由依, 渡辺 健 (田附興風会 医学研究所 北野病院 小児科)

Keywords:不全型川崎病, 冠動脈瘤, Z score

【背景】乳児期発症の川崎病は不全型の割合が多く、冠動脈病変を合併する割合も高いことが知られている。今回我々は、一過性の微熱と発疹、BCG痕発赤のみを症状とし、冠動脈瘤を合併した不全型川崎病の症例を経験したため報告する。
【症例】11ヶ月女児。来院8日前よりBCG痕発赤あり。来院7日前、下肢に発疹出現し同日中に消失。来院6日前、37.6度の発熱あり数時間後に解熱。BCG痕発赤が続くため来院前日に近医受診。心エコーで軽度冠動脈拡張の疑いあり、アスピリン5mg/kg/day内服開始され当院紹介。当院初診時、発熱を含め川崎病主症状なく、血液検査でCRP=2.38mg/dl、赤沈46mm/hと上昇あるのみで肝逸脱酵素や凝固系に異常なし。BCG痕の局所感染を考え抗生剤内服開始。3日後(発熱より第10病日)再診時も主症状なく、血液検査でCRPは低下傾向だったが、心エコーで冠動脈拡張(seg1=2.7mm;Z score +5.9SD、seg5=3.31mm;Z score +4.16SD)を認め、不全型川崎病の診断で同日入院。γグロブリン投与、アスピリン30mg/kg/day内服開始。第11病日の心エコーで冠動脈瘤の増大あり、ステロイドパルス、降圧薬内服、抗凝固療法開始。主症状出現なく経過し、CRPは順調に低下したが、冠動脈瘤の改善ないため第15病日よりシクロスポリン内服開始。薬剤漸減し、第28病日に退院。冠動脈瘤残存しており、退院1ヶ月後に心臓カテーテル検査を予定している。
【考察】第24回川崎病全国調査によると、全症例のうち不全型は20.6%であり、乳児では27.3%と割合が高い。不全型のうち、本症例のように主症状1つのみもしくは不明のものは0.8%、乳児でも1.5%と少ないが、不全型で急性期(発症後1ヵ月以内)に冠動脈瘤をきたしたものは5.7%であった。
【結論】川崎病の診断基準を満足しない症例においては、症状や血液検査による判断は難しく、心エコーで繰り返し評価を行い、適切な治療介入を行うことが重要である。