[P53-04] 川崎病性右冠動脈拡張として外来フォローされていた左冠動脈肺動脈起始症の6歳児例
キーワード:左冠動脈肺動脈起始, 右冠動脈拡張, 川崎病
【背景】川崎病は日常診療で遭遇する機会が多く、合併症として冠動脈拡張・瘤は有名である。一方稀だが、川崎病患者に冠動脈瘻などの先天性冠動脈奇形を合併することも経験する。【症例】6歳女児。3歳で川崎病に罹患し前医で急性期治療を受けた。第4病日(初診時)の心エコー図検査で右冠動脈拡張(径2.9mm)、僧帽弁逆流、動脈管開存症様のflowを指摘されていた。治療後も所見は変わらず、無投薬で外来フォローされていた。6歳時の前医定期外来で、心エコー図検査で肺動脈へ開口する冠動脈瘻を疑われた。運動負荷心電図を施行され、左側胸部誘導のST低下を認め、治療目的で当科紹介された。心エコーや心臓カテーテル検査で左冠動脈肺動脈起始と診断、薬物負荷心筋血流シンチでは左冠動脈灌流領域の広範な心筋虚血を認めていた。左冠動脈移植術を施行し、現在外来観察中である。【考察】川崎病罹患時に冠動脈拡張を認めた場合、頻度はまれではあるが、先天性冠動脈疾患の存在も念頭に心エコーを行うべきである。左冠動脈肺動脈起始は、心エコーで左冠動脈が大動脈から起始しているように見えることも多い。冠動脈起始が一見正常に見えても、特に右冠動脈拡張、僧帽弁逆流が認められた症例では、カラードプラで左右冠動脈間の側副血行路、肺動脈への流入血流、そしてを左冠動脈の血流方向を確認することが必要である。【結語】川崎病性右冠動脈拡張と診断されていた左冠動脈肺動脈起始の1小児例を経験した。川崎病患者で冠動脈拡張を認めた場合、川崎病合併症と決めつけず、左冠動脈肺動脈起始や冠動脈瘻などの先天性冠動脈疾患も念頭にいれて心エコーを行うべきである。