[P53-05] 慢性活動性EBウイルス感染症に心合併症を呈した3例
Keywords:慢性活動性EBウイルス感染症, 心合併症, 肺高血圧
【背景】慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は, EBウイルスがT/NK細胞に持続性に感染し発症するクローン性増殖性疾患であり, 心合併症は予後不良因子である.【症例1】16歳男性. 15歳時に眼瞼下腿浮腫で発症し, 就学時検診で心雑音を指摘され, 16歳時にCAEBV(T+NK細胞型)と診断した. 重度の僧帽弁逆流と三尖弁逆流を呈しており, 中等度の肺高血圧であった. 洞機能不全があり, 一時的にペースメーカーを留置して末梢血幹細胞移植を施行し原病をコントロールした. 洞機能不全と肺高血圧は改善したが, 19歳時に僧帽弁と三尖弁の弁置換術を施行した. 【症例2】26歳女性. 25歳時に発熱と肝障害で発症し, CAEBV(NK細胞型)と診断した. 移植前の心機能評価で両側冠動脈の拡張とRCAとLCXの閉塞あり, LVEF38%と心機能低下あり, 僧帽弁逆流中等度, 大動脈逆流軽度を呈していた. 26歳時に末梢血幹細胞移植を施行し, 原病をコントロールした. LVEFの改善はないが, 弁逆流は改善した. 移植後8年経過し, NYHA1度で経過している. 【症例3】33歳女性. 29歳時に発熱と肝障害で発症し, CAEBV(T細胞型)と診断した. 33歳時の移植前の心臓超音波検査で肺高血圧と診断した. 心臓カテーテル検査で肺動脈圧は62/30(42)mmHg , Rp 12.2Wood unit , CI 3.0L/min/m2であった. タダラフィル, マシテンタン, ベラプロストをupfrontで導入し末梢血幹細胞移植を施行した. 肺高血圧は改善し, 肺血管拡張薬を中止できた. 【考察・結語】3症例共に, CAEBVは良好にコントロールされた.冠動脈病変の改善はみられなかったが, 心機能に悪化はなかった. 肺高血圧は2症例共に改善し, 弁閉鎖不全も重度でなければ改善しており, CAEBVのコントロールができれば, 予後は比較的良好と考えられた.