[P54-01] 主要大動脈肺動脈側副血行路に対するカテーテル治療と予後に関する検討
Keywords:主要大動脈肺動脈側副血行路, MAPCA, カテーテル治療
【背景】主要大動脈肺動脈側副血行路(MAPCA)は胎児期の節間動脈の遺残で、肺血流の過不足を生じやすく、その臨床経過は一様でない。肺血管症を高圧から保護しつつも発育を促すように、外科的治療とカテーテル治療をはじめとする内科的治療を組み合わせることが重要である。【方法】当院においてMAPCAと診断された症例について、その診断、治療内容、転機について検討を行った。【結果】過去5年間で解析対象は14症例あった。うち11例が二心室修復を目指しており、10例が中心肺動脈を有していた。5例がRastelli手術、1例がFontan手術にそれぞれ到達しており、いずれも中心肺動脈を有する症例であった。カテーテル治療は塞栓術が4例、バルーン拡張術が6例、ステント留置術が2例に対して行われ、いずれも中心肺動脈がないか、あっても肺血管床の発達に比較的とぼしい症例であった。Rastelli手術後に行われたバルーン拡張術はのべ5件あり、治療前の右室圧/左室圧比の中央値は1.2、治療後は1.0で限定的ではあるがバルーン拡張術による右室圧の低下傾向が見られた。中心肺動脈を有するもののうち、特に初回評価時のPA indexが100に満たないような症例ではMelbourne shuntなどの外科的手法とバルーン拡張術を組み合わせることでPA indexの改善が得られていた。【考察】手術により肺動脈の成長を促す一方で、吻合部の狭窄、MAPCAの狭小化にはカテーテルによる治療が有効であった。また、塞栓を行って肺血流を制限せざるを得ない症例は治療介入の回数の多い複雑な経過をとることが多く、RastelliやFontanにも到達しづらいと考えられた。