[P54-05] 肺動脈分岐部狭窄症に対する経皮的肺動脈形成術の有効性と肺動脈閉鎖不全の関連
Keywords:経皮的肺動脈形成術, 肺動脈弁閉鎖不全, 肺動脈分岐部狭窄
【背景】我々はファロー四徴類縁疾患における肺動脈でのWave intensity解析で肺動脈逆流(PR)が高度になると肺動脈内の血液を心室に引き込む力が増強していることを明らかにしてきた。この心室suckingに伴う肺動脈側への陰圧は、拡張期圧を低下させ、拡張期の血管径も小さくして肺動脈壁が活動するワーキングレンジを制限し、コンプライアンスが低い状態で働くことを余儀なくさせることになる。こういったPRが肺動脈壁に及ぼす影響の結果、PTAの有効性は減少する可能性がある。【方法】2013年以降右室流出路再建後の肺動脈分岐部以降の狭窄に対して行ったPTAを解析し、有効性と肺動脈閉鎖不全の関連を解析した。【結果】PR gradeごとの比較では、PTA時の年齢、手術介入からPTAまでの時間、病変部位(主肺動脈/肺内肺動脈)、バルーン圧、バルーン/狭窄径比、バルーン/参照血管径比、ウェスト形成時のバルーン壁張力に有意差はなかったが、PRが高度になるにつれ、ウェストができない症例およびウェストが切れない症例が増加し、ウエストが切れる症例の頻度が減少した(p<0.05)。また、バルーン拡張時の壁張力もPR gradeが高度な症例ほど高かった(p<0.05)。有効な血管径拡張が認められた症例はPR gradeが高くなるほど減少した(p=0.01)。また追跡のカテーテル検査で有効性が維持され、肺動脈の発育が認められた症例はPR1度の症例と比較しPR2度の症例で有意に少なかった(p<0.01)。【結論】肺動脈分岐部狭窄に対するPTAの有効性はPRが高度になるにつれ低下した。PRを増悪させない治療戦略こそがカテーテルインターベンションを有効にし、度重なる手術介入の回避につながりTOF術後の予後改善につながると考えられた。