[P54-06] 肺動脈バルーン拡張術は最小径300%以上でも安全に施行出来る
Keywords:バルーン拡張, 肺動脈, 血管径
【背景】肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術は以前よりreference径の200%以下、且つ最小径の300%を超えないというのが定石であるが当院では症例により最小径の300%を超えるバルーンを選択することがある。その血管径の特徴および安全性を報告する。【方法】当院で2015年11月から2018年1月までに肺動脈バルーン拡張術を施行したのべ29例の最小血管径、最大血管径およびバルーン径を電子カルテおよび透視記録より後方視的に抽出し検討した。【結果】症例はTGA術後7例、TOF術後6例、PPS5例、Glenn術後5例、Fontan術後2例、BTshunt術後2例、Truncus術後2例であった。最小径は平均3.8mm(標準偏差±1.5)、最大径6.3mm(±1.6mm)、バルーン径9.2mm(±2.0mm)、バルーン径/最小径276%(±110%)、バルーン径/最大径150%(±29%)であった。バルーン径/最小径が300%を超える症例は29例中7例でrange333-571%であった。いずれも最大径の200%は超えない範囲内(バルーン径/最大径;平均179%,range135-200%)であり、最小血管径1.7mm-3mm(平均2.1mm)の非常に細い血管のみであった。選択したバルーンはMustang4例、Sterling2例、Conquest1例。術後合併症は認めなかった。【考察】最小血管径が3mmを超えない場合のバルーン選択は最小径の300%を超えても最大径200%未満のバルーンを選択すれば肺動脈バルーン拡張術は安全に施行することが可能である。また今回の観察期間外に瘤を形成したものがあったがフォローアップのカテーテルで消失しており、肺動脈で瘤を形成しても低圧なため治癒する。バルーン選択は必要に応じて最小径の300%を超えても効果的な大きさまでサイズアップするべきである。