[P55-05] 双胎間輸血症候群受血児に合併した肺動脈狭窄の1例
Keywords:一絨毛膜双胎, 経皮的バルーン肺動脈弁形成術, 右室瘤
【緒言】
双胎間輸血症候群(TTTS)の受血児は種々の心合併症が起こる事が知られている。今回我々は重度肺動脈狭窄を伴ったTTTS受血児の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
【症例】
一絨毛膜双胎。在胎19週でTTTSに対し、他院で胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を施行された。在胎31週の胎児心エコーでは両児とも異常なかった。在胎32週頃から第1子の発育が停滞し、分娩の方針になった。在胎34週3日、帝王切開で出生した。第1子(供血児)はAPS 6/8, 1,220g、第2子(受血児)はAPS 8/8, 1,968gであった。生後、第2子(受血児)に多呼吸と努力呼吸が持続し、気胸及び肺水吸収遅延による呼吸障害と診断、挿管・人工呼吸器管理とした。BNP=46.4pg/ml。呼吸障害改善後も、SpO2=90%前後で推移し、日齢1に肺動脈狭窄、動脈管開存、肺高血圧と診断した。trans PV peak V=3.9m/s、TR peak V=4.8m/sで、右室圧(=88mmHg)が左室圧(=70mmHg)を凌駕したため、日齢11に経皮的バルーン肺動脈弁形成術(PTPV)を施行した。肺動脈弁狭窄の解除には成功し、右室圧(=41mmHg)は左室圧より低値となったが、右室流出路に瘤を形成したため、高次病院に転院し、外科的に修復術が施行された。肺動脈弁狭窄の改善に伴い、肺動脈弁下狭窄の顕在化を認めたため、β遮断薬の内服を開始し、生後4か月現在、trans PV peak V=3.8m/s程度で経過し、外来フォロー中である。
【考察】
TTTS受血児が肺動脈狭窄を合併する率は約5%とされているが、その重症度は様々である。新生児期から治療を要する重度肺動脈狭窄に対して、PTPVは有効な治療法の一つだが、施行にあたっては、本症例のような稀有な合併症を含めて十分な注意が必要と考えられた。
双胎間輸血症候群(TTTS)の受血児は種々の心合併症が起こる事が知られている。今回我々は重度肺動脈狭窄を伴ったTTTS受血児の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
【症例】
一絨毛膜双胎。在胎19週でTTTSに対し、他院で胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を施行された。在胎31週の胎児心エコーでは両児とも異常なかった。在胎32週頃から第1子の発育が停滞し、分娩の方針になった。在胎34週3日、帝王切開で出生した。第1子(供血児)はAPS 6/8, 1,220g、第2子(受血児)はAPS 8/8, 1,968gであった。生後、第2子(受血児)に多呼吸と努力呼吸が持続し、気胸及び肺水吸収遅延による呼吸障害と診断、挿管・人工呼吸器管理とした。BNP=46.4pg/ml。呼吸障害改善後も、SpO2=90%前後で推移し、日齢1に肺動脈狭窄、動脈管開存、肺高血圧と診断した。trans PV peak V=3.9m/s、TR peak V=4.8m/sで、右室圧(=88mmHg)が左室圧(=70mmHg)を凌駕したため、日齢11に経皮的バルーン肺動脈弁形成術(PTPV)を施行した。肺動脈弁狭窄の解除には成功し、右室圧(=41mmHg)は左室圧より低値となったが、右室流出路に瘤を形成したため、高次病院に転院し、外科的に修復術が施行された。肺動脈弁狭窄の改善に伴い、肺動脈弁下狭窄の顕在化を認めたため、β遮断薬の内服を開始し、生後4か月現在、trans PV peak V=3.8m/s程度で経過し、外来フォロー中である。
【考察】
TTTS受血児が肺動脈狭窄を合併する率は約5%とされているが、その重症度は様々である。新生児期から治療を要する重度肺動脈狭窄に対して、PTPVは有効な治療法の一つだが、施行にあたっては、本症例のような稀有な合併症を含めて十分な注意が必要と考えられた。