[P57-04] スペックルトラッキング法を用いた正常小児における左室ストレイン解析-2Dと3Dの比較―
Keywords:左室ストレイン, 3D, 2D
【背景】3D-speckle tracking(ST)はthrough plane現象などの2D-STに内在する問題を根本的に解決しうるが、一方2Dのframe rate (FR)に比べて3Dのvolume rate(VR)が低いことは、ストレイン値を過小評価する可能性がある。【目的】正常小児の左室のおける3D-STと2D-STの比較を行う。【対象】15歳以下の正常学童81例(男42例、女39例)、平均8.9±2.3歳。【方法】iE33(Phillips)を用いて左室の3D、および2Dデータを記録し、TomTec社の解析ソフト4DLV-functionと2DLV-functionを用いてそれぞれのlongitudinal strain (LS)とcircumferential strain (CS)を解析。3D-STでは左室全体のLS(3D-GLS)とCS(3D-GCS)を計測。2D-STでは心尖3断面を用いて、四腔断面(4CV)、二腔断面(2CV)、そして長軸断面(LAX)のLSを計測し、3断面の平均値を2D-GLSとした。2D-STによるCSは短軸3断面(心基部(B), 中央(M),心尖(A)についてそれぞれ計測し、3断面の平均値を2D-GCSとした。相関分析、paired t-test、およびANOVAを用いて検討した。p<0.05を有意とした。【結果】3DのVRは中央値33(20-60)/sec、2Dのframe rateは心尖断面=65(34-92)/sec、短軸断面=81(45-118)/secで、VRが有意に低かった。3D-GLS:-23.9±2.7%、2D-GLS:-25.5±2.4%(r=0.26,p<0.05);LS: 4CV:-25.4±3.4%(r=0.24); 2CV:-24.7±3.7(r=0.22); LAX:-23.8±3.8(r=0.10)(p<0.05)。3D-GCS: 28.2±2.7% ; 2D-GCS: 28.2±8.0%(r=0.06,p=0.95); CS: B: 28.3±4.9%(r=0.19); M: 29.2±4.6%(r=0.02); A: 27.8±5.8%(r=0.22)(p=0.41) 【考察】GLSは2Dと3Dで弱い相関を認めたが、絶対値は3Dが小さい値となった。一方、GCSは相関を認めないものの、数値の有意差を認めなかった。臨床で使用するうえで2Dと3DのST解析値が完全には一致しないことを認識しておく必要がある。