[P58-02] Brock手術を施行する純型肺動脈閉鎖、重症肺動脈弁狭窄症に体肺シャントを要する予測因子に関する考察
キーワード:Brock operation, Blalock-Taussig shunt, pulmonary atresia with intact ventricular septum
【背景】純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)、重症肺動脈弁狭窄症(critical PS)の初期治療はBrock手術、PTPVなどがあるが、体肺シャントを要する症例が存在する。【目的】Brock手術を施行するPA/IVS、critical PSにBlalock-Taussig shunt(BTS)を要する予測因子を検討すること。【対象と方法】 対象は2010年1月から2017年10月に当院でBrock手術を施行したPA/IVS(2例)、critical PS(4例)の計6例(男女比3:3)。6例の身長、体重はそれぞれ49.37±2.24 cm、2960±409 gであり、Brock手術施行日齢は3.0±1.9 日。BTSを要した群と要さなかった群で三尖弁弁輪径とそのZ score、Brock術前のTRPG、MV/TV比を比較検討した。また、critical PSの症例では肺動脈弁弁輪径のZ score、Brock術前のPVPGも比較検討した。【結果】2例にBTSを要した。PA/IVSの1例はBrock術後1日目に低酸素血症のためBTSを追加し、critical PSの1例はBrock手術時に動脈管結紮で低酸素血症を認めたためBTSを要した。BTSを要した群は要さなかった群に比して、三尖弁弁輪径のZ scoreが小さい傾向(-2.8±1.0 vs. -1.1±1.2: p=0.16)にあったが、三尖弁弁輪径の絶対値(10.8±0.4 mm vs. 12.25±1.6 mm: p=0.35)、Brock術前のTRPG(118±10 mmHg vs. 101±20 mmHg: p=0.24)、MV/TV比(1.2±0.3 vs. 1.0±0.1: p=0.35)で明らかな相関関係はみられなかった。また、critical PSでも、BTSを要した群は要さなった群に比して、肺動脈弁弁輪径のZ scoreが小さい傾向(-3±0 vs. -1.8±1.3: p=0.37)にあったが、肺動脈弁弁輪径の絶対値(5.8±0 vs. 6.3±1.3: p=0.65)とBrock術前のPRPG(56±0 vs. 69±3: p=0.22)は相関関係がみられなかった。【結論】三尖弁・肺動脈弁弁輪径のZ scoreが小さいPA/IVS、critical PSでは、Brock手術施行時にBTSを要する可能性が高い。