[P60-02] 左心低形成症候群に対する外科治療 両側肺動脈絞扼術と新生児ノーウッド手術の遠隔成績の比較検討
Keywords:左心低形成症候群, 外科治療, 姑息術
(背景)左心低形成症候群(HLHS)に対して両側肺動脈絞扼術(bPAB)を選択する施設が増加している。しかし海外では新生児ノーウッド手術を第一選択とし、良好な成績をあげている施設も多い。これまでの研究結果に基づき、染色体異常のない症例に対して北里大学病院では新生児ノーウッド手術を、関連施設である群馬県立小児医療センターではbPABを第一選択とし、可能であればノーウッドグレン手術まで待機する方針としてきた。(目的)2施設の、染色体異常のないHLHSに対する遠隔成績を比較検討し、その方針の妥当性を検討すること(方法)2004年9月から2017年12月までに外科治療を行った染色体異常のないHLHS 29例のうち、北里大学病院13例をK群、群馬県立小児医療センター16例をG群として後方視的に比較検討した。(結果)術後経過観察期間はK群72±59ヶ月G群44±40ヶ月、K群4例がノーウッド後に死亡、生存9例中8例がフォンタン手術を終え、1例が近日フォンタン手術予定。フォンタン到達率は61.5%。G群は6人が死亡(bPAB術後2例、ノーウッド後3例、フォンタン後1例)、残り10例中7例がフォンタン手術を終え、3例がグレン手術待機中。フォンタン到達率は43.8%。5年生存率はK群68.4%、G群58.3%と有意差を認めなかった。フォンタン到達年齢はK群17.2±5.9ヶ月G群52.4±25.7ヶ月と有意にK群が早かった。bPABを除く、フォンタン到達までの平均手術回数はK群3.0±0.5回、G群4.3±0.76回と有意にG群が多かった(p=0.006)。ノーウッド術後フォンタン到達までに要したカテーテル治療はK群の0回に対し、G群が平均3.3±3.1回と有意に多かった。フォンタン術後カテーテル検査値には有意差はなく、肝機能障害、PLE発症率にも有意差はなかった。(考察)両治療方針の比較では生存率、術後カテーテル検査値に有意差は認めないが、フォンタン到達年齢、手術回数、カテーテルインターベンション回数に有意な差を認めた。