[P60-03] 心房中隔欠損閉鎖により三尖弁逆流が改善したEbstein奇形の一例
Keywords:Ebstein's anomaly, TR, 21trisomy
エブスタイン奇形における三尖弁形成術は高度な技術を要し、特に乳児期の三尖弁への介入は困難な場合がある。今回乳児期三尖弁逆流重度のエブスタイン奇形に対して、三尖弁形成術を施行せず、心房中隔欠損及び肺動脈形成術を施行し、三尖弁逆流が改善した症例を経験したので、報告する。【症例】9ヶ月、女児。【診断】Ebstein’s anomaly、ASD、TR severe、supra valvular PS、PA branch stenosis、21trisomy。【経過】日齢8:PDA閉鎖術施行。生後5ヶ月:<UCG>TR severe。中隔尖は軽度plasteringし(Carpentier typeA)、前尖-中隔尖及び中隔尖-後尖の間から幅広く逆流。TR Vp=4.1m/s。<心カテ>Qp/Qs=1.87、RPA=18/11(15)、LPA=48/12(26)、MPA=65/15(34)、RVp/LVp=0.83。<肺血流シンチ>R/L=80/20。LRp=19.2、RRp=2.4。【手術】生後9ヶ月:ASD閉鎖+PA plasty施行。ASDは直接閉鎖、PAはmPA~左右PAにかけてグルタールアルデヒド処理自己心膜及びePTFE patchを用いて拡大。【術後評価】<術後UCG>TR mild↓、TR Vp=2.74m/s↓。PH改善。<CT>形態上supra PS及びPA branch stenosis改善。<肺血流シンチ>R/L=65/35。【まとめ】乳児期三尖弁逆流重度のエブスタイン奇形に対して、三尖弁への介入を行わず、ASD閉鎖にてTRが改善した症例を経験した。今後も慎重なフォローが必要だが、本症例に対する当院の治療方針は妥当だと考える。