[P60-05] Rastelli手術の工夫
キーワード:ラステリ手術, 導管圧迫, 胸骨閉鎖
【はじめに】Rastelli手術では,肺心室と肺動脈の連続性がないか不十分な症例に対し,心外に導管を敷設することで肺循環を再建する.心外に一定規模の構造体が設置されるため,心臓が導管に圧迫されたり,導管が心蔵と胸郭に圧排され狭窄することがある.われわれは,いくつかの工夫を加えることで良好な結果を得ており,それらを提示する.【症例・手術】Rastelli手術の8例(年齢0.5~4(平均1.9±1.3)歳,体重5.4~15.0(平均8.4±3.1)kg)に本法を施行した.手術は胸骨正中切開で入り,大動脈送血・上下大静脈脱血で体外循環を開始した.心内修復終了後,大動脈遮断を解除し,心拍動下にRastelli導管を敷設した.肺動脈弁には3弁付きPTFE人工血管またはコンテグラを用い,これを肺動脈側に吻合した.次いで,これとリング付きPTFE人工血管を,接合角度を勘案してトリミングし,端-端吻合した.最後に,リング付き人工血管を心室切開部に逢着し,肺心室流出路を完成した.閉創前に心尖側の心膜・胸膜を大きく切開し,心臓全体を胸腔に向けてrotationさせた.全8例中6例(75%)で一期的に胸骨を閉鎖可能で,導管による心臓や冠動脈などの圧迫所見を認めなかった.術後経過は良好で,心エコー・造影CTで導管の良好な形態を確認した.【まとめ】Rastelli導管は肺循環の再建法として有用であるが,現在もおおくの課題を有している.われわれが用いた方法は,<1>肺動脈弁部と導管本体を分割再建することで,導管の捻れや歪みを来さないようにすることが容易であり,<2>リング付き導管を用いることで,導管の形態を良好に維持でき,<3>心臓をrotationして導管を胸腔に向けることで,多くの症例で一期的胸骨閉鎖が可能であった.小さな工夫を重ねることで良好な経過を得ており,有用な方法と考えている.