第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

複雑心奇形

ポスターセッション61(P61)
複雑心奇形

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:片岡 功一(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児手術・集中治療部)

[P61-01] 内臓錯位症候群に合併した十二指腸前門脈2例~遠隔期での不定愁訴の原因として~

岡田 清吾1, 宗内 淳1, 渡邉 まみ江1, 杉谷 雄一郎1, 飯田 千晶1, 白水 優光1, 川口 直樹1, 古野 渉2, 上村 哲郎2 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 小児外科)

キーワード:多脾症候群, 無脾症候群, 小児外科

【背景】 内臓錯位症候群は腸回転異常等の腹部臓器異常の合併が多い.消化管狭窄や腸軸捻転等により緊急的外科介入が必要なこともあるが,無症状あるいは軽症状のため診断に至らない場合もある.内臓錯位症候群に合併した十二指腸前門脈(preduodenal portal vein, PDPV)2例を経験したので報告する. 【症例1】 12歳男児.生後からチアノーゼをみとめ,無脾症候群, 完全型房室中隔欠損,両大血管右室起始,肺動脈狭窄,両側上大静脈,単一冠動脈と診断された.生後7か月にグレン手術,2歳8か月にフォンタン手術が実施された.10歳時から不定期的に倦怠感,頭痛,胸痛,上腹部痛,および嘔気を訴え,心臓カテーテル検査では中心静脈圧13mmHg,心係数3.1L/min/m2,PAI 241mm2/m2だった.循環不全に伴う症状と考えられたが各種治療は無効であった.腹部造影CT検査でPDPVによる門脈―膵間での十二指腸圧迫所見をみとめた.胃空腸吻合術(Roux-en Y吻合)により症状は軽快した. 【症例2】 6歳女児.生後からチアノーゼをみとめ,多脾症候群,右胸心,不完全型房室中隔欠損,単心房,両側上大静脈(冠静脈洞欠損),両側肝静脈と診断された.1歳時に心内修復術を実施した.乳児期に腹部膨満症状があり,上部消化管造影で胃内の造影剤停滞所見があったが原因不明であった.幼少期から続く慢性的な食欲不振および食後の心窩部痛を訴えていたため,造影CT検査を行いPDPVと診断した.十二指腸十二指腸吻合(Diamond吻合)を行い症状は消失した. 【考察】 PDPVは軽症のことが多く診断に至らない症例もある.複雑心疾患症例では心症状との鑑別が必要であり,内臓錯位症候群に関連した不定愁訴では鑑別診断として念頭に置く必要がある.