[P61-02] 全冠動脈口閉鎖を伴う右心低形成症候群の経験
キーワード:冠動脈閉鎖, 純型肺動脈閉鎖, 右室低形成
【背景】全冠動脈口閉鎖(CA)を伴うPAIVSは稀で、心臓移植を除く死亡率100%と報告される予後不良疾患である。当施設で経験したCAを伴う右心低形成症候群の3例につき報告する。【症例1】2014年。胎児期にPAIVS,類洞交通(SC)無しと診断。36週、帝王切開で出生。日齢12に心房間狭小化で緊急BASとなる。まずBAS施行。その後、LVGで冠動脈描出されず、RVGで全RVDCCを疑う。LV内でカテーテルを反転してAoGを試みる頃から徐脈化し血圧低下。蘇生に反応なく死亡。【症例2】2017年。胎児期診断は三尖弁閉鎖、筋性部VSD、肺動脈閉鎖。39週、経腟分娩。出生後にはPAIVSと診断。冠血流順行性が確認できずCAも念頭に置いた。日齢9よりST低下、顔色不良を認めだし、心房間も徐々に狭小。日齢20に心カテ。症例1を経験し、まずLVGで冠動脈起始が見られない事を確認。次にBASを行い右室血流の酸素化を図った。慎重にLV反転でのAoGを行い、最後にRVGを手打ち造影して全RVDCCを確認。その際に一過性に徐脈となった。日齢41Ao-RVシャント、BTシャント施行。日齢127グレン手術施行。【症例3】2017年。胎児診断はhypoRV,VSD,PA,PDA。38週、経腟分娩。診断は同様であったが三尖弁異常を伴い、二弁口かつ騎乗の形態で右房-右室と右房-VSD-左室経路に分離した非常に稀な病態であった。日齢12よりST変化を認めSCも懸念された。日齢29に心カテ。RVGで全RVDCC。AoGで冠動脈起始を認めなかった。前例ない病態で治療方針に難渋した。日齢50より心室性不整脈散発し、心機能も徐々に低下。日齢59に大動脈-右室シャント、BTシャント施行。日齢75に死亡。【まとめ】CAを伴う右心低形成症候群は何れも全RVDCCで予後不良である。心カテ時死亡例を経験し、症例2では検査順を変えて行い、新たな術式で生存を得ている。症例3は前例の無い病態で適正な手術時期を逸した可能性がある。【結語】CAを念頭に診断、治療対応する事で移植以外で救命しうる症例がある。