第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

複雑心奇形

ポスターセッション61(P61)
複雑心奇形

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:片岡 功一(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児手術・集中治療部)

[P61-04] 右室低形成と肺動脈弁欠損を合併した2例

藤井 俊輔1, 長友 雄作1, 永田 弾1, 松岡 良平1, 江口 祥美1, 村岡 衛1, 福岡 将治1, 鵜池 清1, 平田 悠一郎1, 帯刀 英樹2, 大賀 正一1 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 心臓血管外科)

キーワード:肺動脈弁欠損, 右室低形成, circular shunt

【背景】肺動脈弁欠損は先天性心疾患の0.5%、ファロー四徴症の1~4%に合併し、乳児期に重症呼吸障害を生じるが、右室低形成との合併例は非常に稀である。異なる経過を辿った自験2例を報告する。
【症例1】在胎27週に右室低形成および肺動脈弁欠損と診断された。動脈管は逆行性で肺動脈弁逆流、三尖弁逆流よりCircular shuntを呈していた。胎児心拍数200/min、心拡大、胎児水腫を認め、胎動なく重症心不全の状態であり、緊急帝王切開で娩出した。体重1128g、脈拍140/min、血圧は測定不能であった。右室心筋は異形成が強く、中隔は非対称性肥大を示し、左室緻密化障害を認めた。出生から80分後に肺動脈結紮を行いCircular shuntを遮断した。一旦病状は安定するも動脈管による高肺血流、心機能低下および心房中隔狭小化が進行して、日齢36に心不全で永眠した。【症例2】2歳女児。在胎28週に右室低形成と肺動脈弁欠損を診断された。三尖弁は閉鎖しており逆流はなかったが、症例1同様、右室心筋異形成、中隔肥大と左室緻密化障害があり、冠動脈-右室交通も認めた。主肺動脈血流は両方向性であった。出生後PGE1を投与し、月齢3に右APシャントを施行した。1歳3か月でGlenn手術を施行した際に肺血管成長のため主肺動脈結紮検討したが、冠動脈-右室交通があるため、主肺動脈バンディングとした。現在Fontan手術待機中である。
【考察】右室低形成と肺動脈弁欠損の合併は稀だが、これまで約30例の報告がある。肺動脈から右室へ逆流する特徴的な血行動態に加えて、右心室を主体とした心筋異常の合併も散見される。肺動脈弁欠損は、形成期の心筋underminingによる弁尖の分化障害が原因と考えられているが、今回の自験例からも心筋分化障害が本疾患の一連の心筋異常と関連していることが推察された。