第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション62(P62)
電気生理学・不整脈 5

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)

[P62-02] 冠静脈洞憩室頚部に副伝導路を認めたWPW症候群の一例

青木 晴香1, 渡辺 重朗1, 正本 雅斗1, 中野 裕介1, 鉾碕 竜範1, 岩本 眞理2 (1.横浜市立大学附属病院 小児循環器科, 2.済生会横浜市東部病院 小児科)

キーワード:冠静脈洞憩室, WPW症候群, カテーテルアブレーション

【背景】WPW症候群のうち冠静脈洞心外膜側に副伝導路がある症例は、冠静脈洞憩室などのanomalyを伴うことがある。今回我々はWPW症候群の症例にカテーテルアブレーションを施行し、冠静脈洞憩室頚部に副伝導路を認めた一例を経験したので報告する。【症例】12歳男児。生後1ヶ月でPSVTを認め、フレカイニドとプロプラノロールの内服が開始された。最終発作は生後2か月で、1歳6か月で内服は漸減終了した。以降も発作なく8歳で終診となった。11歳で動悸発作が出現し当科受診、カテーテルアブレーションの方針となった。デルタ波から副伝導路の位置は冠静脈洞近傍であると疑われた。術前の経胸壁エコーで17mm×9mm大の冠静脈洞憩室を認め、カテーテル中に施行した冠静脈洞造影でも憩室を確認できた。電気生理検査では、イソプレナリン投与下の心房期外刺激でAVRTが誘発された。右側からアプローチし、洞調律下に心室最早期興奮部位をマッピングすると冠静脈洞内が最早期であり、憩室開口部と冠静脈洞開口部の間の部位の通電で副伝導路の離断に成功した。【考察】冠静脈洞憩室の頚部にはしばしば副伝導路を認める。後中隔や左後壁の副伝導路が疑われるWPW症候群に対し、冠静脈洞憩室の存在に気づかずに当初左側からアプローチしたためにアブレーションが困難であったという報告が散見される。また、冠静脈洞内や枝のアブレーションは、冠静脈洞穿孔や冠静脈洞内血栓など、他の心内のアブレーションと比較して合併症率が上がるとされており、より慎重な手技が求められる。後中隔や左後壁、冠静脈洞近傍に副伝導路が疑われる場合は、アブレーション前に経胸壁エコーや造影CTなどの画像検査で冠静脈洞憩室の有無を把握しておくことが重要である。