[P62-03] 心因性動悸との鑑別が困難であった異所性心房頻拍の1女子症例
Keywords:心房頻拍, 心因性動悸, 自律神経
【背景】自律神経変動は心因性動悸の原因と考えられているが、不整脈においても発作の修飾因子となることは知られている。思春期の小児における心因性動悸は少なくなく。今回、心因性動悸との鑑別が困難であった異所性心房頻拍(EAT)の1女子症例を経験したので報告する。【症例】14歳女子。11歳頃より運動時に非持続性胸痛を認め、1年後には同症状は月に2-3回と頻度が増加したため近医受診したところ、特発性胸痛と診断された。症状出現から2年後、症状が安静時にも出現するようになったため当院を受診したが、Holter心電図などの一般外来検査は正常、OD試験、心拍変動解析も正常範囲内であったが、心因性動悸を念頭に経過観察した。症状出現から3年後、慢性腹痛・心窩部痛が出現し、機能性ディスペプシアと診断され加療された。動悸症状の頻度が増悪したため、精査加療目的に入院となった。EPSではIsp投与下の心房期外刺激で容易に誘発される心房頻拍が再現性をもって誘発され、EATと診断した。カテーテルアブレーション(RFCA)はEnsite Navixを使用した。Sinus mapおよびAT mapを作成したところ洞結節より2cm下方・右房後壁に異常興奮部位を認め、同部位への通電で治療に成功した。【考察】低い発作頻度、短い持続時間の頻拍を一般検査のみで捕捉するのは困難である。病院外での心拍モニターデバイス等の使用も含め、頻拍発作捕捉のための工夫は必要であった。本症例では自律神経機能異常が原因の一つとして出現する機能性ディスペプシアを合併したため、心因性動悸との鑑別が困難であった。【結語】動悸症状の原因特定に苦慮した症例であったが、EPSによりEATと診断しRFCAにより軽快した。小児・思春期の心房頻拍についての文献的考察を加えて報告する。