第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション63(P63)
電気生理学・不整脈 6

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:吉田 葉子(大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

[P63-04] 頻拍を主症状としたてんかん発作を認めた結節性硬化症の一例

阪田 美穂, 佐藤 有美, 白井 丈晶 (加古川中央市民病院 小児科)

キーワード:結節性硬化症, 洞頻脈, てんかん

【背景】 結節性硬化症はあらゆる臓器に影響を及ぼす疾患で、臨床症状は非常に多様である。様々な臨床症状の中で、てんかんは一般的な症状の一つである。てんかん発作は中枢の自律神経系に直接影響し、心拍数やリズムに変化を与える。てんかん発作に関連した頻拍の報告は多くみられるが、小児におけるてんかん発作時の心拍変化の報告は少ない。【症例】5歳女児。2歳時にATPの投与後に頻拍が頓挫した既往がある。動悸を訴えて息をこらえる症状を頻回に認めたため当院を受診した。皮膚の白斑、大脳の皮質結節、上衣下結節から結節性硬化症と診断した。ホルター心電図で症状に一致して心拍数150/分を超えるnarrow QRS頻拍(long RP頻拍)を1日に20回程度認め、いずれも1分以内に消失した。ATPや息こらえで頓挫する経過からリエントリーを疑ったが、頻拍時のwarm up、cool down現象が明瞭であったため否定した。洞性P波に類似したP波を認めたため、洞頻脈、自動能亢進性心房頻拍を鑑別に挙げ、プロプラノロールの内服を開始したが効果はなかった。夜間に頻回に症状が出現するため、眠りに対する恐怖感を訴えるようになった。結節性硬化症であることから、てんかん発作による洞頻脈の可能性を考えて脳波検査を行ったところ、頻拍に一致して右前側頭部にてんかん性放電を認めた。カルバマゼピンの内服により頻回に認めていた頻拍は消失した。【考察】 本症例のてんかん発作は頻拍を主症状とする自律神経発作であり、頻拍性不整脈と洞頻脈の鑑別が難しく、診断に苦慮した。原因不明の頻拍がみられた場合はてんかん発作の可能性も考え、脳波検査を行うことを考慮する必要がある。