[P64-03] 一次学校心臓検診の心エコー検査から得た右房-右室圧較差(TRPG)と心電図V1誘導との関連は?
キーワード:学校心臓検診, TRPG, V1誘導
【背景】平成28年度から、X県内の一地区で一次学校心臓検診に全例心エコー検査を導入している。検査項目の中で、肺高血圧症の早期検出のため、三尖弁閉鎖不全および逆流血流速度を用いて右房-右室圧較差(TRPG)を算出している。その際、多くの児童の三尖弁閉鎖不全および逆流血流速度が測定可能であった。一方、学校心臓検診の抽出疾患の中に肺高血圧症があるものの、ある程度進行した時点で抽出されるケースが多い。さらに近年の肺高血圧薬剤の有効性の観点から、病初期の段階で抽出する意義は十分にある。そこで、今回のTRPGの値は正常範囲であるものの、比較的ばらつきがあり、肺高血圧の診断に有効なV1誘導との関連を精査する。【目的】心エコー検査で得られたTRPGと心電図V1誘導に関わるパラメータとの関連を調べる。【方法】X県内の一地区で行った一次学校心臓検診者104名(小学校1年)のうち三尖弁閉鎖不全および逆流血流速度が測定可能であった51名を対象とした。同時に測定した簡易心電図のV1誘導を用いた。V1誘導関連のパラメータとして、RV1(mV)、|SV1|(mV)、|TV1|(mV)、RV1-|SV1|(mV)、RV1+|TV1|(mV)、RV1/|SV1|、RV1/|TV1|を用いた。【結果】TRPG 19.8±4.2(11-30)mmHg、RV1 0.69±0.34、|SV1| 1.17±0.46、|TV1| 0.33±0.13、RV1-|SV1| -0.49±0.40、RV1+|TV1| 1.01±0.37、RV1/|SV1| 0.63±0.29、RV1/|TV1| 2.34±1.25。TRPG値とV1誘導関連のパラメータとは全て相関関係はなかった。【考察】少ない対象数であること、対象は全て正常なTRPG値であることが、今回の結果に起因している可能性はある。【結論】現時点で、正常範囲内のTRPG値とV1誘導関連のパラメータの相関性は低いが、今後データを集積し、さらに異常症例との関わりを調査継続する。