[P64-05] 小児1型糖尿病患者におけるQT dispersionの検討
Keywords:小児1型糖尿病, QT dispersion, 自律神経障害
【背景】QT dispersion (QTD)は心筋再分極の不均一性を示し、心不全や致死性不整脈の予後因子と言われている。1型糖尿病患者ではQTDが延長していることが報告されており、心筋障害や自律神経障害を示唆している可能性が報告されている。【目的】小児I型糖尿病患者のQTD測定が自律神経障害の予測に有用かを検討すること。【方法】対象はインスリン皮下注射を開始して1年以上経過した小児1型糖尿病(T1DM)患者5例(全例男、年齢中央値16.0±3.8歳)と健常児群(N)15例(男8例、年齢中央値12.0±2.2歳)。12誘導心電図からQT時間、Bazettの式で補正したQTc(B), Fridericiaの式で補正したQTc(F)を算出し、QTD, QTcD(B), QTcD(F)を算出した。自律神経障害の指標としてCVRR(SD/mean RR)と%RR50を算出し、両群間でそれぞれを比較検討した。統計処理にはMann-Whitney U検定、Spearmanの順位相関係数を用いた。【結果】QTDは小児T1DM患者において健常児群と比べて延長していた(QTD: T1DM vs N 46.0±13.5 vs 26.2±13.0ms, p=0.018, QTcD(B): 50.3±15.5 vs 27.9±11.6ms, p=0.026, QTc(F): 48.9±14.8 vs 27.4±11.9ms, p=0.032)。CVRRは0.051±0.006 vs 0.056±0.026, p=0.57であり、%RR50は39.1±16.4 vs 36.7±25.7%, p=0.92と両群間で差がなかった。【考察】QTcDは小児T1DM患者における自律神経障害を従来の指標と比べて早期に検出できる可能性があると考えられたが、今後経時的な評価が必要である。DMによる心筋障害を反映している可能性もあるため心機能を含めた検討が必要である。【結論】QTDは小児T1DM患者において自律神経障害や心筋障害を早期に検出できる可能性がある。