[P65-02] 修正大血管転位の肺動脈弁狭窄解除後に三尖弁逆流が増悪した成人症例
Keywords:修正大血管転位症, 右室機能, 三尖弁逆流
【背景】成人期修正大血管転位(ccTGA)では、体心室を担う右室機能の低下、三尖弁逆流(TR)が大きく予後を左右する。【症例】53歳女性。診断は内臓逆位、修正大血管転位、心室中隔欠損、心房中隔欠損、肺動脈弁狭窄(左室流出路狭窄)。17歳時に心内修復術+Rastelli手術(Conventional Repair)を施行。術後は、チアノーゼの改善が得られ、日常生活においては自覚症状無く経過していたため、外来は自己中断していた。52歳時、歯科治療を契機に感染性心内膜炎に罹患。人工血管に付着する疣贅を認めた。感染コントロールが困難で、Rastelli導管置換術が必要と判断した。術前の心エコー所見は、RV面積変化率(FAC) 30%、 TRは moderate、LVFAC 40% MRはmildで、推定RVp/LVp は0.85であった。【結果】術後の心エコー所見は、RVFAC 26% TR はsevere、LVFAC 50% MR はtrivial、推定RVp/LVp は0.55へと変化。心不全は増悪を認め、著明な肺うっ血を認めた。【考察】PSの解除により左室圧が低下し、心室中隔が左室側に偏位することで、体心室である右室が大きく球状に変化した。それに伴い、三尖弁形態は変化し、逆流の増悪をきたし、さらなる右心機能低下を引き起こした。【結語】ccTGAの右室(体心室)機能を評価する上で心室間相互関係を十分検討する必要性がある。