第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション65(P65)
成人先天性心疾患 3

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:大野 直幹(川崎医科大学 小児科)

[P65-03] 感染性心内膜炎を合併したWilliams症候群の一例

松岡 良平1, 永田 弾1, 坂本 一郎2, 帯刀 英樹3, 村岡 衛1, 福岡 将治1, 長友 雄作1, 平田 悠一郎1, 塩瀬 明3, 筒井 裕之2, 大賀 正一1 (1.九州大学 医学部 小児科, 2.九州大学 医学部 循環器内科, 3.九州大学 医学部 心臓血管外科)

キーワード:感染性心内膜炎, ウィリアムズ症候群, 僧帽弁閉鎖不全症

【背景】Williams症候群(WS)に合併する僧帽弁逸脱症(MVP)とそれによる僧帽弁逆流(MR)は経年的に増悪することが知られているが、MRによる感染性心内膜炎(IE)の報告は極めて希である。【症例】30歳女性。妖精様顔貌と大動脈弁上部狭窄(supra AS)の所見からWSと診断された。5歳時にsupra ASに対してDoty手術を行い、術後の再狭窄はみられていない。一方でMVPによるMRは徐々に増悪し、30歳時には後交連と前交連の2カ所から出現するsevere MRであった。入院2か月前に歯科治療を行った。入院1か月前から39~40℃の弛張熱と下痢が出現し、2週間で約10kgの体重増加と全身の浮腫、胸部X線での著明な心拡大、12誘導心電図で心房細動(Af)がみられたため、うっ血性心不全の増悪と判断し、利尿剤・抗凝固薬投与を開始した。経食道心臓超音波検査(TEE)で血栓形成がないことを確認し電気的除細動で洞調律へ復帰した。また、僧帽弁に付着する疣贅を認め、血液培養で緑色連鎖球菌が検出されたためIEと診断し、4週間の抗菌薬治療を行った。以降、血液培養と炎症反応は陰性化したため入院5週間目に退院となった。治療により心不全は改善したものの左房拡大と重度MRは残存した。退院3か月後に僧帽弁形成術を行い、現在術後経過観察中である。【まとめ】WS患者は歯科的異常を合併する頻度が高く、更にMRは成人期に問題になることが多いため、WS成人患者における発熱の原因としてIEは重要な鑑別診断となる。MRに対する外科介入としては、WS患者が精神発達遅滞を伴うことが多いため、抗凝固療法が必要な弁置換術の選択は慎重にならざるを得ない。