[P65-04] 解剖学的三尖弁置換術後急性期に急性胆嚢炎を合併した修正大血管転位の18歳男性の治療経験
キーワード:成人先天性心疾患, 術後急性期, 緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術
【はじめに】胆嚢結石の危険因子として年齢、肥満、脂質代謝異常が挙げられる。成人先天性心疾患患者の増加に伴い、肥満、脂質代謝異常を始めとした胆嚢胆石のリスク因子を持つ症例をみる機会も今後増えよう。今回私たちは肥満、脂質代謝異常を合併した修正大血管転位(ccTGA)の18歳男性において、解剖学的三尖弁置換術(TVR)後急性期に急性胆嚢炎を発症し、緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行した症例を経験したので報告する。【症例】TVR手術入院時18歳男性、身長174.6cm、体重88.3kg、BMI 28.96。ccTGA、解剖学的三尖弁閉鎖不全(TR)、脂質代謝異常、高尿酸血症、耐糖能異常の診断で、フロセミド、スピロノラクトン、エナラプリルマレイン酸塩、ベザフィブラート、フェブキソスタットの定期内服中。TRの増悪、肺高血圧を認め、TVR (SJM31)が施行された。TVR術後13日に退院したが、退院当日より腹部疝痛あり、同15日緊急入院、血液検査、腹部CT所見から急性胆嚢炎(Grade II)と診断された。早期の手術適応と考えられたが、TVR術後早期でワルファリン投与中でもあり保存的加療の方針とした。術後16日臨床的改善に乏しく、ビタミンK2投与、ヘパリン化の上で緊急LCが施行された。胆嚢胆汁培養、血液培養陰性、機械弁機能不全を含め術後合併症なく、緊急LC後10日退院した。【まとめ】機械弁置換術後早期で、ワルファリン等抗凝固療法中であっても、ビタミンK2投与とヘパリン化で安全にLCが可能だった。急性胆嚢炎の初期は無菌性であることが多く、時期を逸すれば敗血症、胆嚢穿孔、腹膜炎発症も懸念され、患者の状態を鑑みながらも、躊躇せず適切なタイミングでの外科的介入を決断すべきである。