[I-EL01-01] 左室を診る
左心室は、実に絶妙に螺旋状に走行する3層の心筋繊維が、同様に絶妙に心室内を伝播する電気的興奮のもとに、収縮‐弛緩を繰り返し、左心房から血液を受け取り、大動脈に血液を駆出する。心筋繊維は一部右心室とも共有し、電気的興奮も右心室を含んで伝播し、左室と右室は心嚢という一つの袋の中に共生する。心筋の収縮弛緩は、心筋細胞内カルシウムを介して行われ、それを調節するたくさんの機構が存在する。また心筋には心筋細胞以外の間質細胞が存在し、心筋細胞の調整や心室全体の機能に係っている。左心室の機能は、以上の多因子による協調作業、作用の結果成立しており、そのいずれの異常も左心室の機能異常に結びつきうる。したがって、左心機能を診るには、それぞれの因子を念頭に、それぞれの因子の特徴をつかむのに適した指標や方法で評価する必要がある。直接的に評価できなくても、結果として現れる現象から、異常を推察することも重要である。本セミナーでは左心室機能をいろんな角度でとらえる討論をしてみたい。