第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

教育講演

教育講演1(I-EL01)
心室機能の見方

2019年6月27日(木) 16:30 〜 17:30 第1会場 (特別会議場)

座長:増谷 聡(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器部門)

[I-EL01-02] 右室機能の見方

山田 修 (国立循環器病研究センター 病理部)

右室機能を見る(評価する)に当たって必要な条件がいくつか考えられるが、その中で重要なものには1)再現性、2)弁別性、3)普遍性、4)実用性などが含まれる。
1)同一条件下での繰り返しての計測で安定した値を示すことは勿論であるが、条件変化にも追随できることが望まれる。例えば肺移植後のIPAHでは右室駆出率(EF)が劇的に改善することはよく知られているが、これはEFの後負荷依存性による。RVEFを収縮性の評価手段として使用する場合には後負荷とセットにして考えなければならない。2)機能変化を俊敏に判別することは臨床上でも虚血や薬物毒性の有無を判断する上で重要になる。発生張力やdimensionなどの物理的変化による評価だけでなく、RIなどの画像的評価による代謝変化の検索も有用である。3) force-velocity関係などの単離心筋で成立する事象と共通性があるか?また対側心室(左心室)と同様の手法で見ることが出来るか?など。EFや壁厚増加率などは共通の指標となり得るが、peak dP/dtは駆出が収縮早期から始まる右室では収縮性指標としては不適当な場合がある。4)侵襲度が低く臨床的に使用可能か?煩雑でなく比較的簡単に得られるか?
また左室が比較的に均質な構造を有しているのに対して右室は部位による変化(壁厚、曲率の不均一)が著しいが、右室全体のみならず個別部位の機能を見る手段があるのか?
実際にはこれらすべてを備える単一の指標や方法はなく、特定の条件下での評価であることを認識した上で個別の対象に当たる必要がある。そのためには各評価法の原理を知り適応できる限界を弁えて使用せねばならない。
ここでは歴史的なものから最近までの主要な計測方法および機器について適用を交えて述べる。