[I-OR01-04] Fallot四徴症心内修復術後患者に対する心肺運動負荷試験;心臓MRI所見との関連
Keywords:Fallot四徴症, 心臓MRI, 心肺運動負荷試験
【背景】Fallot四徴症心内修復術後(rTOF)では遠隔期に肺動脈弁逆流(PR)による心不全が進行することがある。肺動脈弁置換術(PVR)は心不全徴候を認める場合もしくは心臓MRI(CMR)で右室拡大が著明な場合(右室拡張末期容積係数:RVEDVi>160mL/m2)に適応されることが多いが、実際は心不全症状を自覚した時には既に心機能が高度に低下しており、予後改善のためには潜在的心不全を予測してPVRを行う必要がある。現在、潜在的心不全を予測するCMRの指標は明らかでない。一方、心肺運動負荷試験(CPX)は心機能低下を早期に検出可能だが、PVR適応の指標には用いられていない。【目的】rTOF患者の心負荷をCMRとCPXで解析し、潜在的心不全の予測に有用なCMR指標を検討する。【対象と方法】2008~2018年にCMRを行ったrTOF患者のうち、CMR前後1年以内にCPXを行った27例(男性16例、女性11例、年齢10~45歳:中央値26歳)を対象として後方視的に検討した。CPXはエルゴメータによるRamp法で実施した。【結果】最高酸素摂取量(peak VO2)平均値は27.2±18.0 mL/kg/min(73.3±8.2%normal)と低下していた。左室拡張末期容積係数(LVEDVi)はpeak VO2およびΔ酸素摂取量/Δ心拍数比と正の相関を、右室/左室拡張末期容積比(RVEDV/LVEDV)はpeak VO2と負の相関を示した。peak VO2≦80%normalを潜在的心不全とした場合、LVEDVi<84.5mL/m2、RVEDV/LVEDV>1.73に相当した。一方、RVEDViと相関するCPX指標は検出できなかった。【結語】rTOF患者のLVEDVi低下とRVEDV/LVEDV上昇は潜在的心不全を反映し、よりよい予後を目指すPVR適応基準として利用できる可能性がある。