[I-OR02-04] VSD/MR合併例の術後MRの経過とMR残存の危険因子
キーワード:心室中隔欠損症, 僧帽弁閉鎖不全症, 術後経過
【目的】VSD/MR合併例のVSD閉鎖後のMRの経過とMR≧2度残存の危険因子を検討すること.
【対象と方法】対象は, 2008/1-2018/12に当院で手術を行った, 術前からMRを伴う16歳以下のVSD連続128例中, 術後4ヶ月以上追跡可能だった63例(M31:F32). 多孔性VSD, 複雑心奇形合併例は除外した.術前MRの程度によりI(MR1度), II(MR2度), III(MR3,4度)の3群に分け, 患者背景, 術前Qp/Qs, %LVEDV, mPA圧, 術後MR経過を比較した. またMR≧2度残存の危険因子を検討した.
【結果】周術期/遠隔期死亡(-). 観察期間47(5-119)月. 僧帽弁同時手術(-). 染色体異常12例(19%). 14例(22%)に前尖逸脱, 1例(2%)に後尖short chordaを伴った. I群:29,II群:27,III群:7例. 患者固有因子,手術年齢/体重は各群で有意差なし. Qp/Qs[I:2.5±1, II:3.0±1, III:3.0±1](P=0.20), %LVEDV[I:184±58, II:214±40, III:276±40](P<0.01), mPA(mmHg)[I:34±18, II:32±14, III:51±10](P=0.018).
術後MRの経過は, I群: 6/29(21%):1→0, 21/29(73%):1→1, 2/29(7%):1→2. MR消失例と他では%LEVDVに差はないが, 手術時月齢(42±54: 16±20, P=0.05), 手術時体重(kg)(13±11: 7.7±5, P=0.04)と後者で手術時期が早く, 早期からの心室容量負荷に伴うMRはVSD閉鎖後も残存した. II群: 21/27(78%):2→0 or 1, 6/27(22%):2→2, 悪化(-). MR改善例の%LVEDVはMR不変例より小さかった(203±39: 250±17, P=0.01). III群: 6/7例(83%)でMR改善(3 or 4→1 (n=3), 3→2(n=3)), 消失(-). 弁下組織異常を伴う1例はMR4へ悪化した.
全体でMR≧2度残存は12例(19%). 単変量解析では, 退院前MR [MR0, 1, 2, 3, 4][MR≧2: N=0, 4, 5, 2, 1; MR<2: N=18, 21, 12, 0, 0)(P<0.01)と%LVEDV(253±45, 196±58, P<0.01)が危険因子だった.
【結語】VSDに合併したMRはVSD閉鎖後に50%の症例で改善傾向を認め, 悪化はまれだった. 術直後MRの程度と術前%LVEDVがMR≧2残存の危険因子だった.
【対象と方法】対象は, 2008/1-2018/12に当院で手術を行った, 術前からMRを伴う16歳以下のVSD連続128例中, 術後4ヶ月以上追跡可能だった63例(M31:F32). 多孔性VSD, 複雑心奇形合併例は除外した.術前MRの程度によりI(MR1度), II(MR2度), III(MR3,4度)の3群に分け, 患者背景, 術前Qp/Qs, %LVEDV, mPA圧, 術後MR経過を比較した. またMR≧2度残存の危険因子を検討した.
【結果】周術期/遠隔期死亡(-). 観察期間47(5-119)月. 僧帽弁同時手術(-). 染色体異常12例(19%). 14例(22%)に前尖逸脱, 1例(2%)に後尖short chordaを伴った. I群:29,II群:27,III群:7例. 患者固有因子,手術年齢/体重は各群で有意差なし. Qp/Qs[I:2.5±1, II:3.0±1, III:3.0±1](P=0.20), %LVEDV[I:184±58, II:214±40, III:276±40](P<0.01), mPA(mmHg)[I:34±18, II:32±14, III:51±10](P=0.018).
術後MRの経過は, I群: 6/29(21%):1→0, 21/29(73%):1→1, 2/29(7%):1→2. MR消失例と他では%LEVDVに差はないが, 手術時月齢(42±54: 16±20, P=0.05), 手術時体重(kg)(13±11: 7.7±5, P=0.04)と後者で手術時期が早く, 早期からの心室容量負荷に伴うMRはVSD閉鎖後も残存した. II群: 21/27(78%):2→0 or 1, 6/27(22%):2→2, 悪化(-). MR改善例の%LVEDVはMR不変例より小さかった(203±39: 250±17, P=0.01). III群: 6/7例(83%)でMR改善(3 or 4→1 (n=3), 3→2(n=3)), 消失(-). 弁下組織異常を伴う1例はMR4へ悪化した.
全体でMR≧2度残存は12例(19%). 単変量解析では, 退院前MR [MR0, 1, 2, 3, 4][MR≧2: N=0, 4, 5, 2, 1; MR<2: N=18, 21, 12, 0, 0)(P<0.01)と%LVEDV(253±45, 196±58, P<0.01)が危険因子だった.
【結語】VSDに合併したMRはVSD閉鎖後に50%の症例で改善傾向を認め, 悪化はまれだった. 術直後MRの程度と術前%LVEDVがMR≧2残存の危険因子だった.