第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演3(I-OR03)
外科治療 2

2019年6月27日(木) 09:40 〜 10:20 第4会場 (中ホールA)

座長:落合 由恵(九州病院 心臓血管外科)
座長:櫻井 一(中京病院 心臓血管外科)

[I-OR03-01] 総動脈幹症に対する外科的治療成績

堀尾 直裕, 小谷 恭弘, 田井 龍太, 迫田 直也, 辻 龍典, 小林 泰幸, 門脇 幸子, 後藤 拓弥, 黒子 洋介, 立石 篤史, 笠原 真悟 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)

キーワード:総動脈幹症, 肺動脈絞扼術, 右室流出路再建

【背景】総動脈幹症(PTA)は自然予後不良だが,手術戦略の向上により生存率は改善した。右室流出路の再建法は様々だが,右室流出路狭窄(RVOTS),肺動脈狭窄(PS)などで再介入が必要となる。当科では従来一期的修復,その後二期的修復の方針としてきたが,近年では低リスク例では新生児期一期的修復を行い,その他は二期的修復としている。当科でのPTAに対する手術成績を報告する。【対象】1991-2017年に根治術したPTAは29例で,Moderate以上の総動脈幹弁逆流を3例,離断症を5例に認めた。一期的修復は15例(P群),二期的修復は14例(S群)で平均観察期間は7.4年であった。【結果】P群では根治術時の平均日齢50.6日,平均体重3.07kgで,右室流出路再建は右室肺動脈の直接吻合が12例、導管での再建が3例あった(12mm2例,14mm1例)。S群では根治術時の平均日齢437.2日,平均体重7.45kgで,右室流出路には全例で導管を用いた(14mm7例,16mm6例,18mm1例)。周術期死亡はP群の2例で,ショックで搬送された離断症合併例とsevereな総動脈幹弁逆流を認めた症例であった。遠隔期死亡はP群3例,S群1例で,5年生存率はP群60%,S群89%であった。術後カテーテル検査をした23例中,右室/左室圧比が0.6以上となったのは17例でP群8例,S群9例であった。P群では肺動脈を直接吻合した4例でPS,1例でRVOTSとPSであったのに対し,導管を用いた3例は全てRVOTSでPSは認めなかった。S群は全例でPSが原因であった。再手術はP群8例,S群1例が全てRVOTSまたはPSに対する介入で総動脈幹弁逆流に対する再介入はなかった。5年再手術回避率はP群65%,S群91%で有意差(p<0.05)を認めた。一方,カテーテルを含めた5年再介入回避率はP群37%,S群18%とS群で介入率が高かった(p=0.07 )。 【結論】PTAに対し二期的修復を行うことでハイリスク症例の生存率の改善が得られた。二期的修復により,大きな導管を用いることで右室流出路関連の再手術率が改善したが,左右肺動脈狭窄が問題となっていた。