[I-OR04-01] 肺静脈狭窄を伴う心外型総肺静脈環流異常を合併した無脾症候群の治療成績
Keywords:無脾症候群, TAPVC, PVO
{背景・目的}肺静脈狭窄を伴う心外型総肺静脈環流異常を合併した無脾症候群の治療成績は現在最も治療困難な先天性心疾患の一つである。当院では2012年以降肺静脈狭窄(PVO)を合併する症例には生後すぐに内科的stent留置を、また2018年以降は手術介入時にsuture less techniqueを積極的に導入し治療成績の改善に努めてきた。当院での治療経験について検討する。{対象・方法}2014年1月から2019年1月までに当院で加療した心外型総肺静脈環流異常を合併した無脾症候群症例19例の内肺静脈狭窄を合併した9例を対象とし、後方視的に治療成績を検討した。 {結果}8例が胎児診断。9例中8症例に対し初回治療介入として内科的stent留置術を7例、balloon拡張を1例に行った。内科的stent留置・balloon拡張術は日齢0:6例、日齢8:1例、日齢38:1例に施行した。Stent留置・balloon拡張術を行った8例のうち6例で総環流異常解除術 (TAPVC repair)前に肺動脈絞扼術(PAB)を要し、1例が出血により死亡した。Stent留置した7例が平均日齢86平均体重2660gでTAPVC repair(同時手術としてPAB:5例、体肺動脈短絡術(BTS):2例、両方向性グレン手術(BDG):1例)に到達、同時手術がBTSの2例が死亡、その他の5例中2例がBDG待機中、3例がBDGに到達し1例が死亡、2例がTCPC到達した。PVOを合併しつつもStent留置が困難と判断されたため初回治療介入がTAPVC repairであった1例はTCPCに到達した。1年生存率は56%であった。{結論}PVOを合併した群では他報告に比較し生存率は良好であった。一方で内科的介入を初回治療とすることで新生児期の人工心肺を用いた手術介入を回避出来たが初回治療からTAPVC repairまでの間に体重増加は見られずBTSを要する血行動態では手術成績は不良であった。今後は内科治療介入後の手術介入のタイミングを検討し、より良いFontan循環を目指した手術の工夫が寛容である。