[I-OR04-02] 左心低形成症候群における三尖弁逆流の意義
Keywords:左心低形成症候群, 三尖弁逆流症, 右心機能
【目的】左心低形成症候群において段階的Fontan手術における三尖弁機能および心機能の変化について追跡しFontan手術到達率への影響を検討する。【方法】2006年1月から2015年12月まで当院で左心低形成症候群に対しNorwood手術を行った62例のうち、両方向性グレン(BDG)手術まで終了した47例を対象とした。Norwood手術直後にmild以上の三尖弁逆流(TR)を有する11例(R群)と有さない36例(N群)のFontan手術到達率、TRおよび心機能の変化を比較検討する。
【結果】R群のうち9例は弁形成を行うもFontan手術時に全例mild以上のTRを有し心機能が低下しFontan手術到達率は55%だった。N群(n=36)のうちFontan手術時もTRがない22例(NN群)は全例Fontan手術に到達した。残り14例(NR群)はTRが悪化し1例は心機能低下しFontan手術に到達せず。Fontan手術時の右室駆出率はNN群 62%、 NR群 56% (p<0.01)、右室拡張末期圧はNN群 5.5mmHg、 NR群 7.2mmHg (p=0.01)、BDG手術前のQp/QsはNN群 0.59、NR群 0.72 (p=0.04)、Fontan手術前のQp/QsはNN群 0.56、NR群 0.64 (p<0.01)であった。NN群の7例(31%)はBDG時にTRが悪化し全例再大動脈縮窄(reCoA)を合併していたがreCoAのみ修復しFontan時にはTRは改善していた。NR群の3例(21%)がBDG時にreCoAがあり修復を併施したが、いずれもFontan時にreCoAは残存していた。
【考察】Norwood手術直後よりmild以上のTRを有す例はTRが改善せず心機能が低下しFontan手術に到達しづらかった。Fontan手術までにTRが悪化している症例はBDG時もFontan時もQp/Qsが有意に高値で心室の容量負荷や心機能低下が関係していると考えられた。また、reCoAを合併することでTRは悪化するが、reCoAを制御できた場合にはTRは改善する可能性が考えられた。
【結論】TRは左心低形成症候群の予後を悪化させる原因であり結果とも考えられた。TRの制御のために着実な三尖弁形成、reCoAの修復とQp/Qsを低めにする管理が必要である。
【結果】R群のうち9例は弁形成を行うもFontan手術時に全例mild以上のTRを有し心機能が低下しFontan手術到達率は55%だった。N群(n=36)のうちFontan手術時もTRがない22例(NN群)は全例Fontan手術に到達した。残り14例(NR群)はTRが悪化し1例は心機能低下しFontan手術に到達せず。Fontan手術時の右室駆出率はNN群 62%、 NR群 56% (p<0.01)、右室拡張末期圧はNN群 5.5mmHg、 NR群 7.2mmHg (p=0.01)、BDG手術前のQp/QsはNN群 0.59、NR群 0.72 (p=0.04)、Fontan手術前のQp/QsはNN群 0.56、NR群 0.64 (p<0.01)であった。NN群の7例(31%)はBDG時にTRが悪化し全例再大動脈縮窄(reCoA)を合併していたがreCoAのみ修復しFontan時にはTRは改善していた。NR群の3例(21%)がBDG時にreCoAがあり修復を併施したが、いずれもFontan時にreCoAは残存していた。
【考察】Norwood手術直後よりmild以上のTRを有す例はTRが改善せず心機能が低下しFontan手術に到達しづらかった。Fontan手術までにTRが悪化している症例はBDG時もFontan時もQp/Qsが有意に高値で心室の容量負荷や心機能低下が関係していると考えられた。また、reCoAを合併することでTRは悪化するが、reCoAを制御できた場合にはTRは改善する可能性が考えられた。
【結論】TRは左心低形成症候群の予後を悪化させる原因であり結果とも考えられた。TRの制御のために着実な三尖弁形成、reCoAの修復とQp/Qsを低めにする管理が必要である。