[I-OR05-02] 肺動脈閉鎖兼正常心室中隔のFontan 術後左心機能
Keywords:PAIVS, MRI, LV
【目的】PA-IVSのFontan術後左心機能を検討した. また, 残存右心室の影響も検討した. 【方法】1981年から2017年までにFontanを完了したPA-IVS 68例の内, 術後MRIを行った44例を対象とした. 左心機能評価として, EF, CI, Ees, Ea, Ea/Ees, EW/PVA, EDVI, 心筋重量, 心筋strain解析を検討した. MRI施行年齢は13.1±5.6歳であった.【結果】肺動脈弁切開を施行した群は, 体肺動脈シャント術前カテーテルによるRVEDV%Nは有意に大きかった (45.9±4.2 vs 20.8±7.6%, p<.001). Fontan後は両群ともに右心室は縮小していた(10.1±10.8 vs 2.5±3.2%, p=.002). 左心機能評価項目値は, EF:59.2±8.0%, CI:3.3±0.6L/min/m2, Ees:3.0±1.1mmHg/ml/m2, Ea:2.5±0.5mmHg/ml/m2, Ea/Ees:0.9±0.3, EW/PVA:69.0±7.2%, EDVI:68.6±13.9ml/m2, LV mass:46.9±13.1g/m2であった. 心筋strain解析(中隔側 vs 側壁側の%絶対値を示す)では, longitudinal strain: 10.1±7.8% vs 18.9±10.9%, p<.0001, circumferential strain: 17.3±4.0% vs 19.4±4.7%, p=.027, radial strain: 27.8±10.6% vs 34.1±12.4%, p=.013と中隔側のstrainの低下が認められた. RV exclusionの有無や右心室の大きさ(RVEDVI)と, 心筋strain解析を含めた左心機能に相関はなかった. 【結語】残存右心室はFontan術後縮小し, 大きさの大小による左心機能への影響は認めなかった. 左心機能は一見良好であったが, 平均Ea/Ees値が1に近いことから外的仕事量は最大に近く, 動脈負荷に対する収縮予備力が十分とは言えない可能性が示唆された. 中隔側のstrain低下が右室の存在によるかは不明であるが, さらなる遠隔期にこの中隔側のstrain低下が左心機能に及ぼす影響は今後の検討が待たれる.