[I-OR05-03] 片側肺動脈低形成におけるIntrapulmonary-artery septationの有効性
キーワード:Intrapulmonary-artery septation, 肺動脈内隔壁作成術, 片側肺動脈低形成
【はじめに】Intrapulmonary-artery septation(IPAS)は単心室循環において片側肺動脈低形成の症例の準備手術として行われている。健側肺動脈にはGlenn shuntで患側肺動脈にはBT shuntをおき、肺動脈内に隔壁作成することにより肺動脈の連続性を維持し選択的に肺血流を得ることにより肺動脈の発育を促している。【目的】当院におけるIPASの治療成績について後方視的に検討する。【対象】2008年から2018年までで当科でIPASを施行した8例(Fontan candidates7例、{BT shunt術後3例うち1例は中心肺動脈形成施行、Glenn術後のleft PA stenosis2例、Norwood術後1例、MAPCAでUnifocalization後1例}、二心室修復1例TOF+Absent left PA)。全例片側肺動脈低形成(動脈管による縮窄2例、形成後の狭窄5例、片側肺動脈欠損1例)であり、IPAS施行時年齢は7ヶ月~8歳(中央値1歳1か月)、体重:5.6~12.7(中央値8.7)kgであった。健側肺血流はGlenn shunt7例、主肺動脈からの順行性血流1例で、患側肺血流はmodified BT shunt7例、主肺動脈からの順行性血流1例であった。6例にパッチ拡大による肺動脈形成が施行されており、新鮮自己心膜(2例)、グルタルアルデヒド処理した自己心膜(2例)、内胸動脈パッチ(1例)、0.4mm ePTFE(1例)を用い施行した。【結果】IPAS後PSに対するPTA0例、再手術0例。全例最終手術に到達しており、Fontan手術7例、二心室修復1例、死亡0例であり、IPASからFontanあるいは二心室修復までの期間は277±203日であった。Fontan到達後のPA圧は11.5±2.5mmHg、二心室修復後平均PA圧は15mmHg、患側のPA Z-scoreはIPAS前-3.835±3.005、IPAS後-0.315±1.875であった。【結語】片側肺動脈低形成におけるIPASは術後肺動脈の発育が得られ、全例で最終手術に到達できた。また術後の肺動脈に対する再介入はなく、Fontan循環も良好に保たれており,有効な中間手術であると思われた。