[I-OR06-02] 3D speckle tracking法よる右室型単心室の心室機能評価:心室容量とstrainの同時評価とPrincipal strainの研究への応用
Keywords:右室型単心室, 3Dスペックルトラッキング, ストレイン
【背景】右室型単心室(SRV)の心室機能を、従来の2D心エコー法で評価することは困難である。2D speckle tracking法(2D-ST)によるstrain測定は、SRVにおいても有用な心室機能評価を可能としたが、心室全体の機能を反映したものではなく、また右室の容量を測定することはできない。近年3D-STの登場により、心室容量とstrainの同時評価、およびPrincipal strain(PS)の測定が可能となった。PSは収縮による心筋組織の変形における最大収縮部位を示し、Circumferential strain(CS)、Longitudinal strain(LS)、C-L shear strainを1次元に融合した新しいstrainである。心エコー装置の機能向上により、小児においても3D心エコーの撮像が可能となってきているが、SRVにおいて3D-STの応用は未だ少ない。【目的】SRVの心室機能評価における3D-STの有用性を検討する。【方法】Fontan術後SRV(左心低形成症候群64例、年齢 10.7 ± 4.6歳)の心室機能を3D-ST(4D LV-Analysis, Tomtec, Germany)で解析した。1)右室拡張末期容積(RVEDV)と心駆出率 (EF)をMRIによる測定値と比較した(n = 18)。2)3D-STおよび2D-STにより測定したstrain(PS、3D-CS、3D-LS、2D-CS、2D-LS)とEFとの相関を比較した。【結果】1)RVEDV、EFとも3D-STとMRIは強い相関を示した (それぞれr = 0.94、0.86)。2)3D-CS、3D-LSとも2D-CS、2D-LSそれぞれよりEFと強い相関を示した。また、すべてのstrainの中でPSがEFと最も強い相関を示した(r = -0.95)。【考察】3D-STはSRVにおいてもMRIと同等の心室容量評価が可能であり、また2D-STと比較してより心室機能を反映したstrainの評価が可能である。特にPSは心収縮能を最も反映するstrainであり、SRVの心室機能解析に新しい知見をもたらす可能性がある。