[I-OR06-04] 先天性心疾患術後患者における微小血管内皮機能の検討
Keywords:微小血管内皮機能, 先天性心疾患術後, reactive hyperemia
【背景】ファロー四徴症術後やフォンタン術後における血管内皮機能はFMD法により低下していることが報告されているが、検者間誤差や操作性などの問題点がある。これに対して、Endo-PAT2000を用いた微小血管内皮機能検査は簡便で操作性も良く、小児においても再現性が報告されている。【目的】CHD術後患者における血管内皮機能をEndo-PAT2000を用いて検討すること。【対象】長野県立こども病院及び大阪医科大学の小児循環器外来を受診し、同意が得られたCHD術後患者48例(年齢14.0±3.3歳、男性30例)を対象、コントロールは、年齢を合わせた健常例114例(年齢13.6±0.9歳、男性59例))。疾患内訳は、フォンタン手術後18例、二心室30例(ファロー四徴症術後14例、非チアノーゼ性心疾患術後16例)。【方法】測定は、Endo-PAT2000を用い、検査前は安静、朝食前に適温・暗室下で15分間両指尖にプローベを装着、加圧開放前後の血流を測定し反応性充血(Reactive Hyperlemia Index:以下RHI)を評価し検討を行った。(1)CHD術後患者及び健常者のRHI、非チアノーゼ修復群、ファロー四徴症術後群、フォンタン術後のRHI (2)血清マーカー(尿酸、T-chol、BNP、Cr)、内服薬(利尿剤、ACE阻害薬、抗血小板薬)との関連。【結果】(1)CHD術後患者におけるRHIは、健常者に比べて有意に低下(1.51±0.40 vs 1.95±0.64、p<0.0001)。非チアノーゼ修復群、ファロー四徴症術後群、フォンタン手術後の多重比較では、有意差なし(1.56±0.35 vs 1.34±0.42 vs 1.60±0.41)。(2)RHIと血清マーカーに有意差なし。ACE阻害薬の内服の有無では、内服群で有意にRHIの高値を認めた(1.69±0.40 vs 1.44±0.38、p=0.04)。フォンタン術後群、非チアノーゼ修復群、ファロー四徴症術後群では、ACE阻害薬の有無でRHIに有意差は認めなかった。【結語】CHD術後患者におけるRHIは低下しており、血管内皮機能障害の存在がある。ACEI阻害薬による改善が期待できる。