[I-OR07-05] 二心室修復術後症例における,右左短絡を有する残存心房間交通デバイス閉鎖術の効果と問題点
Keywords:残存心房間交通, デバイス閉鎖術, 右左短絡
【背景】右室容量/コンプライアンスや肺血管床が不良,高肺血管抵抗などの理由により,二心室修復成立のためにIntraatrial communication(IAC)を残存させることがあるが,低酸素や梗塞のリスクを伴うため条件が許せば後の閉鎖が望まれる.【目的】右左短絡を有するIACの経皮的閉鎖術の有効性,注意点を明らかにすること.【対象・方法】2009年~右左短絡IACをデバイス閉鎖した6例.閉鎖時年齢2.5-6.3(中央値5.7)y,体重10.4-22.4(中央値17.5)kg. 基礎診断, IACの型,梗塞の既往,balloon閉鎖試験時のSaO2,SvO2,RA圧,Qs前後比,IACデバイス閉鎖後のr-IAC,抗凝固療法,梗塞,NT-proBNPの変化について後方視的に調査,検討した. IAC閉鎖可の基準はFontan開窓に準じballoon閉鎖試験でQs前後比>0.7, RA圧上昇4mmHg以下,SvO2低下<10%とした.【結果】基礎診断:c-PS3,Ebstein2, TrA1.IAC:縫縮後3,Native2,creation後1.梗塞0.閉鎖試験SaO2: 91.0→97.8%(有意差+),SvO2: 66→72%(有意差+)とむしろ上昇,RA圧: 6.8→8.0mmHg(有意差-) Qs前後比0.88-1.05と全例条件をクリア.閉鎖栓サイズ: 5例でballoon sizing-0.1~+0.4mm, 1例のみ+1.9mmを選択(ASO4例,FSO2例).+0.4mmの1例はdetach前RA造影で有意短絡あり+1.9mm(12mm)に変更し短絡消失.終了時SaO2 95%の1例は有意なr-IACありAspirinに加えWarfarinを内服.他5例はAspirinのみ6か月内服.術後梗塞0.BNP:前193→1か月後417pg/mL (有意差-),修復を要するTRのない4例は1-6か月で,他の2例は1-2年で前と同等に低下した.【考察】ASO/FSOを用いたIAC閉鎖は低酸素血症改善に有効であった.ただし梗塞に関しては短絡が残るとリスクは減るが無にならないため,完全閉鎖が望ましい.右左短絡IACはNativeのASD(II)のみでなく作成した孔やASD(II)を縫縮したものもあり,かつ閉鎖栓の2枚のdisk径が短絡と反対の方向に大小という特殊性がある.可能であれば閉鎖栓の1size upを検討する余地があると考えらえた.