[I-OR07-06] 小児心臓カテーテル治療時の麻酔科医による全身麻酔管理の現状と効果
Keywords:カテーテル治療, 全身麻酔, リスク回避
【背景・目的】当院では、従来自科による静脈麻酔下に心臓カテーテル治療を行っていたが、2017年7月より全例麻酔科医による全身麻酔下での治療に移行した。今回は治療中のバイタルサイン(VS)変動に対する麻酔科医の介入について調査し、効果を明らかにすることを目的とした。【対象・方法】2017年7月から2018年12月に麻酔科医による全身麻酔下で施行したカテーテル治療141例を後方視的に検討した。また、体制移行前の2014年1月から2017年6月に自科麻酔下で施行した153例と比較した。【結果】麻酔科管理群は、全例挿管・人工換気下に施行され、観血的血圧およびEtCO2測定が行われた。年齢の平均は2.99歳で、自科麻酔群の平均4.51歳に比し、低年齢化の傾向にあった(p=0.01)。Bergersenらによる小児カテーテル治療のリスク分類(1~4)を行うと、麻酔科管理群でリスク3-4の高リスク症例は90例(63.8%)であり、自科麻酔群の70例(45.7%)に対して有意に割合が高かった(p<0.01)。麻酔科管理群では、SpO2低下に対する酸素使用:57例(40.4%)、血圧低下に対する昇圧剤投与:54例(38.3%)、不整脈に対する薬剤投与:15例(10.6%)が行われたが、心肺蘇生、ECMO導入、死亡例はなかった。術後PICUへの予定外入室は5例(肺出血2例、大動脈仮性瘤形成2例、喘息発作1例)あったが、いずれも後遺症を残さず退院した。自科麻酔群では肺出血2例、心房/心室壁の損傷各1例を認めたほか、術中のSpO2低下に対してmask&bag、経鼻airwayの挿入またはCPAPを要した症例が8例(5.2%)あったが、EtCO2が測定されていた症例はなかった。【考察・結論】麻酔科管理のもと、治療中のSpO2・血圧低下への介入が高頻度で行われたが、VS変動に対して早期に対応した結果、低年齢化かつ高リスク化の中で重篤な合併症なく治療を施行できた。カテーテル治療時の麻酔科医による全身管理は、安定したVSのもと術者が手技に集中でき、有益性は高いと考える。