[I-OR08-01] 当院における医療ICTによる小児循環器診断と治療の変化
キーワード:ICT, 遠隔診断, アプリケーション
【背景】近年、医療分野にもICT(Information and Communication Technology)導入が急速に進められている。当院では2015年に附属4病院医師・看護師などに合計3,278台のスマートフォン貸与を開始し、医療者間連携や業務効率の向上を中心として医療ICT推進を図っている。同端末には医療機器認証アプリケーションが搭載可能で、汎用画像診断装置による画像診断や動画共有機能による遠隔診断および手術情報の共有などが可能となった。【目的】医療ICT推進によって導入されたスマートフォンおよび医療アプリケーションは、小児循環器診断と治療にどのような変化をもたらしたかを検討する。【方法】同アプリケーションで可能な機能は、1.ビデオ通話を用いた患者臨床像やエコー画像の共有、2.医療画像管理システム(PACS)と連携し遠隔地からの医用画像の共有、3.院内設置カメラ連携によるリアルタイム動画配信での手術室内の映像の共有などである。スマートフォン及びアプリケーションを用いて、診断および治療戦略を検討した患者を後方視的検討する。【結果】実際に診断と治療にICTを利用した症例を通じて有用性について発表する。1.エコー動画および顔貌異常より遠隔から迅速に診断し得た22q11.2.欠失症候群・VSD/PA/MAPCA、2.造影CTを即時に共有し、院外心臓外科医と術式を検討し手術計画を立てた単純型Coarctation、3.手術進捗状況の把握によりチームダイナミクスを有効活用した例などを提示する。【考察】専門的な小児循環器領域だけではなく、遠隔附属病院における診断や治療介入も可能であり患者予後に貢献する可能性が高まった。今後はカテーテル検査動画の連携など更なる有用性が検討される。【結論】医療ICT推進により安全に患者情報を多方面から診断することが可能となり、診断と治療に今後さらなる汎用性が考えらえる。