[I-OR10-04] 先天性心疾患術後に発症する壊死性腸炎の臨床像とリスク因子
Keywords:壊死性腸炎, 先天性心疾患, 左心低形成症候群
【背景】先天性心疾患(CHD)は壊死性腸炎(NEC)をしばしば合併し、心臓手術後に発症することもあるが、臨床像についての報告は少ない。
【目的】心臓手術後にNECを発症した臨床像と、リスク因子を検討する。
【対象と方法】2014年から2018年で心臓手術後にNECを発症した11例について後方視的に検討。
【結果】患者背景はHLHSが最多で6例(3例がNorwood術、2例が両側PAB術+ASD拡大術、1例が両側PAB術)、AVSDのPAB術が2例、PA/IVSのcentral shunt術が1例、TGA/IAAの大動脈修復術、PAB術が1例、Truncusの両側PAB術が1例で根治術後の発症はなく、10例が新生児期の手術であった。また死亡例は3例でいずれもHLHSであった。同時期の新生児期症例は526例(開心術 263例、非開心術 263例)、HLHSが69例(開心術 36例、非開心術 33例)であった。HLHSのNEC発症率 8.7%に対して非HLHSは0.09%と有意に高かったが(p<0.05)、開心術と非開心術でNEC発症率に差はなかった。またHLHSの開心術でのNEC発症率 16.1%に対して非HLHSの開心術は0%と有意に高かったが(p<0.05)、非開心術でHLHSと非HLHSにNEC発症率の差はなかった。発症時期は2峰性で、9例が術後12日(7-30日)で、3例が術後77日(71-87日)で発症している。単心室症例に限定すると早発例はSpO2 85%(80-88%)に対して遅発例ではSpO2 75%(68-76%)であり、フロセミド投与量は3.15mg/kg(0.3-6.7mg/kg)に対して4.4mg/kg(3.1-8.1mg/kg)であった。
【考察】HLHSの開心術はNEC発症のリスク因子と考えられ、予後も悪かった。また早発例は新生児期の心臓手術で腸管バリア機能が改善するといわれている14日より早期に発症しており、高肺血流の傾向があった。遅発例ではチアノーゼと利尿剤を高用量投与されている傾向があった。
【結論】HLHSの開心術はNEC発症のハイリスクであり、慎重に経腸栄養を進める必要がある。また早発例と遅発例で異なる発症機序が予想された。
【目的】心臓手術後にNECを発症した臨床像と、リスク因子を検討する。
【対象と方法】2014年から2018年で心臓手術後にNECを発症した11例について後方視的に検討。
【結果】患者背景はHLHSが最多で6例(3例がNorwood術、2例が両側PAB術+ASD拡大術、1例が両側PAB術)、AVSDのPAB術が2例、PA/IVSのcentral shunt術が1例、TGA/IAAの大動脈修復術、PAB術が1例、Truncusの両側PAB術が1例で根治術後の発症はなく、10例が新生児期の手術であった。また死亡例は3例でいずれもHLHSであった。同時期の新生児期症例は526例(開心術 263例、非開心術 263例)、HLHSが69例(開心術 36例、非開心術 33例)であった。HLHSのNEC発症率 8.7%に対して非HLHSは0.09%と有意に高かったが(p<0.05)、開心術と非開心術でNEC発症率に差はなかった。またHLHSの開心術でのNEC発症率 16.1%に対して非HLHSの開心術は0%と有意に高かったが(p<0.05)、非開心術でHLHSと非HLHSにNEC発症率の差はなかった。発症時期は2峰性で、9例が術後12日(7-30日)で、3例が術後77日(71-87日)で発症している。単心室症例に限定すると早発例はSpO2 85%(80-88%)に対して遅発例ではSpO2 75%(68-76%)であり、フロセミド投与量は3.15mg/kg(0.3-6.7mg/kg)に対して4.4mg/kg(3.1-8.1mg/kg)であった。
【考察】HLHSの開心術はNEC発症のリスク因子と考えられ、予後も悪かった。また早発例は新生児期の心臓手術で腸管バリア機能が改善するといわれている14日より早期に発症しており、高肺血流の傾向があった。遅発例ではチアノーゼと利尿剤を高用量投与されている傾向があった。
【結論】HLHSの開心術はNEC発症のハイリスクであり、慎重に経腸栄養を進める必要がある。また早発例と遅発例で異なる発症機序が予想された。