第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演10(I-OR10)
集中治療・周術期管理

Thu. Jun 27, 2019 2:50 PM - 3:40 PM 第5会場 (中ホールB)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 CCU)
座長:宮本 隆司(北里大学病院 心臓血管外科)

[I-OR10-05] 周術期だけでなく、小児医療で遭遇する乳び胸水・乳び心嚢水への対応

平野 暁教1, 吉村 幸浩1, 山本 裕介1, 野間 美緒1, 三浦 大2, 寺田 正次1 (1.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:乳び胸水, 乳び心嚢水, リンパ管造影

当院で経験した術後乳び胸水、特発性乳び胸水や先天性乳び胸水といった様々な背景の乳び症例4例から、小児医療で遭遇する乳び治療についてをまとめた。
1例目:1歳女児、両側乳び胸水による呼吸苦から搬送。ステロイド、オクトレオチド、血液凝固第13因子製剤を使用するが効果なく、リンパ管造影検査を実施。その後も胸水の持続があり、胸管結紮を実施。結紮から2日後から経口摂取再開可能、7日後にドレーンも抜去可能となった。
2例目:3歳女児、ダウン症、血管輪の診断で左側方開胸による血管輪解除手術後の乳び胸水。利尿剤、オクトレオチド、血液凝固第13因子製剤を使用するが効果なく、リンパ管造影検査を実施。その後胸水は減少し、造影から8日後に経口摂取再開可能となった。
3例目:日齢0から両側乳び胸水による先天性乳び胸水の女児。ステロイド、オクトレオチドによる治療に反応なく、日齢44でリンパ管造影実施。ポピドンヨードによる胸膜癒着療法を2回実施するも効果薄く、日齢70で胸管結紮実施。胸水は減少傾向であったが完全に消失せず、エチレフリンとピシバニールによる胸膜癒着術を併用してようやくコントロール可能となった。ドレーンは胸管結紮から28日後に抜去可能となった。
4例目:12歳女児、Cardio-facio-cutanous(CFC)症候群、慢性心嚢水貯留に対して心嚢ドレナージ手術実施。心嚢水は乳びであった。利尿剤、脂肪制限食、アスピリン内服するも効果なく、術後12日目にリンパ管造影実施。リンパ管造影ではリンパ管の異形成を認め、CFC症候群に合併するものと考えられた。造影後4日でドレーン抜去可能となり、内科的治療も緩めることが出来た。
乳びの治療が内科的治療のみで奏効する症例は少なく、リンパ管造影や胸管結紮といった外科的介入により乳びのコントロールが可能となる症例が多かった。特発性・先天性乳びであっても早期の造影検査・胸管結紮は積極的治療として有効な可能性があると考える。