[I-OR12-03] 胎児期から当院で管理した抗SS-A抗体による先天性完全房室ブロック症例の臨床経過
Keywords:完全房室ブロック, 胎児診断, 抗SSA抗体
【背景】先天性完全房室ブロック(CCAVB)の胎児期管理や治療については様々な報告がある【目的】当院で管理した抗SS-A抗体によるCCAVB症例の胎児期の管理と臨床経過を検討する【対象・方法】2012年~2018年に当院で胎児期から管理した抗SS-A抗体によるCCAVB症例を後方視的に検討【結果】<症例数>5<診断週数>24週3日~26週4日(25週1日)<当科初診>26週0日~33週2日(28週0日)<初診時/最低/出生直前心室rate>45~62(56)bpm/45~60(51)/45~70(54)bpm<初診時/出生直前CTAR>39~48(43)%/33~60(43)%<胎児水腫>1(心嚢液貯留のみ3)<その他のエコー所見>心内膜エコー輝度上昇2,2度以上の房室弁逆流2<母体デキサメサゾン投与(投与期間)>4(4~10週)<胎児心拍増加目的での母体塩酸リトドリン投与>4<胎児死亡>0<分娩方法>帝王切開5<出生週数>34週1日~39週1日(35週6日)<出生体重>1916~3134(2662)g<出生時心拍数>50~70(60)bpm<呼吸管理>挿管1,DPAP1<イソプロテレノール静注>5<ペースメーカー植え込み(PMI)>4<初回pacing>一時的心外膜leadによる体外pacing2(day1,24),PMI(DDD)2(day22,2か月)<CRT-Pへの変更>1(1歳1か月)<他の心奇形>smallVSD1,PDA1,ASD1<新生児ループス症状>血小板減少1,皮疹1<死亡例>1(PMI後の突然死)<経過観察期間>2か月~6年2か月(4年5か月)【考察・結語】胎児期の母体ステロイド投与は、胎児水腫や2度以上の房室弁逆流、心嚢液貯留例に対し施行され、羊水過少や子宮内発育遅延は認められなかったが、出生後副腎不全を1例認めた。出生後は全例内科的治療を行い、胎児水腫例では日齢1に一時的心外膜leadによるpacingが選択された。この症例では日齢36にPMI(VVI)が行われたが、後に心室同期不全となりCRTを行った。CCAVB症例は胎児期から慎重な管理が必要であり、PMIにより予後は改善したが、遠隔期に拡張型心筋症を発症する例も報告されており、長期にわたる注意が必要な疾患である